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作品名:水鏡 作者:鳴瀬羽迦

第9回   未想/pin-point
未想




奇跡が起らないことを知っている


叶わない夢を思い描いて


風に吹かれるままに この道を行く


どうして人は 過ぎ去って気づくのだろう


どうして人は ここにないものに焦がれるのだろう


やがて閉じる物語の最終章に


まだ言葉を添えたくて 手を延ばしている


奇跡が起らないことを知っていても







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pin-point




なんて小さな場所なのだろう

極細の針でつついた点みたい

だけど今はここが全てなんだ

この場所を通して思うことが

自ら望んだって考えなければ

辛すぎる場所だったのだけど

種明かしは呆気なく済まされ

オブラートは溶けてしまった

ストレートに苦みは襲いくる

それでも耐え続けるのだろう




ほんとうはね もう風の中に 
風の音だけの世界に 溶けて
しまいたいんだ 君 ごめん
ね 身体から力が抜けて行く
ばかりで とうに 心も身も
ボロボロなんだ誤摩化せない
くらいに 気を張っても追い
つかないほどに 虚しくなる


それでも耐え続けるのだろう

灯が消えるまで目を見開いて 














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