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作品名:水鏡 作者:鳴瀬羽迦

第4回   モラトリアム/ストラグル
モラトリアム




あれから私は 道のない野原を歩いています
草花が風に揺れるのを楽しみながら 満ち欠けする月を眺めながら


だけど 時々ふと 傍らにあたなのいないことが
淋しく感じられるのです


耳元に囁いてくれる風の声も
すきま風のように 心に凍みるときがあるのです


月明かりに照らしだされた風に揺れる
この小さな草花の姿を あの月の光のことを
あなたと向かい合い語り合えることができたらと つい思い


この野原では夢に過ぎないかもしれず
それでも ここに呼び続けるのは 人の心の常なのでしょうか


幼き日からの密かな望み この地に叶う日は来るのでしょうか
でもきっと その日が近づいてきたころ 私は別な感情を抱いて
また 最果ての地に旅するかもしれない


あなたをあなたとして ひとり想いたい私もいるのです
いまは この体温ある地にたゆたいて
私は人として生きているから




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ストラグル




どうしたら 雨は止むのだろう

どうしたら 動き出せるのだろう

いつまでも 雨宿りしている

心 晴れないまま 涙の粒 雨に紛らせ





止まってしまった風景

過ぎ行く時間に 引き離され

色褪せた空間に ただ佇むばかり

心 零れ落ちる欠片になって 散るばかり




どうしたら 行けるのだろう

どうしたら 見ること出来るのだろう

いつまでも 俯いたまま

心 水溜まりに 映りし 青空思う







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