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作品名:水鏡 作者:鳴瀬羽迦

第10回   見つからない言葉/a silent film
みつからない言葉




空の彼方から しんしんと降る雪のように 記憶が舞い降りる


地の奥から こんこんと湧く湯水のように 想いがあふれる


心の水面で それらが触れあい 靄が流れる


みつからない言葉は 靄のなかに 声になるときを待っている





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a silent film




誰も知らないところで 息を潜めて

ただ 世界をみつめていたい

気づけば 風に 風になっている そんなふうに

あらゆる境界線を なくそうと言うなら

昨日と明日の 生と死の 境界線も消えてゆくのだろう

なんて 静かなのだろう どこにいても

無声映画みたいな 時のスクリーンを みつめている

雑踏の中にいても 息を殺して

過ぎ行く人達の それぞれの物語が 幻影のように 渦巻くのをみる

この地上で 地上でどんなふうに 心を持てばいい

もう ドラマなんて いらないんだ いらない

誰も知らないところで 息を潜めて

ただ 世界をみつめていたい

気づけば 風に 風になっている こんなふうに

昨日と明日の 生と死の 境界線も消えてゆく こんなふうに








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