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作品名:水鏡 作者:鳴瀬羽迦

第1回   瞋恚/cross
瞋恚




貴女が忽然と姿を
消したのは夏のことだった


そして 私の目の前には
知らない女が立っていた


いつから作り話だったのか
心の中で嘲笑っていたのか


人を疑うことを知らなかった
その お人好しの馬鹿さ加減を知った


貴女 何者だったのか


雨はしばらくの間 涙を誤摩化してくれる
でも 赤くなった目は隠せない


宛てもなく 睨むばかりの 打ちのめされた心


それでも私は きっと再生するから
そう 阿修羅をともなって




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cross




心の片隅に まだ暗闇は残っていて
君の思い出を押し込んだ


あの暗闇は消えることはないのだろう
いつか全てを支配されてしまうこと厭わないけど


そして 今なら解る気がする
微笑んでいるのに瞳の奥に哀しみを持っていた人のこと


謎が解けてしまうのが恐くて
見ないふりしていることもある


だけど なぜか胸に知っていて
どことなく諦めて過ごしている


君はいつも 飛行機雲
私はずっと 地を這う轍


交差したふりして すれ違う天と地は
遠く離れている








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