瞋恚
貴女が忽然と姿を 消したのは夏のことだった
そして 私の目の前には 知らない女が立っていた
いつから作り話だったのか 心の中で嘲笑っていたのか
人を疑うことを知らなかった その お人好しの馬鹿さ加減を知った
貴女 何者だったのか
雨はしばらくの間 涙を誤摩化してくれる でも 赤くなった目は隠せない
宛てもなく 睨むばかりの 打ちのめされた心
それでも私は きっと再生するから そう 阿修羅をともなって
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cross
心の片隅に まだ暗闇は残っていて 君の思い出を押し込んだ
あの暗闇は消えることはないのだろう いつか全てを支配されてしまうこと厭わないけど
そして 今なら解る気がする 微笑んでいるのに瞳の奥に哀しみを持っていた人のこと
謎が解けてしまうのが恐くて 見ないふりしていることもある
だけど なぜか胸に知っていて どことなく諦めて過ごしている
君はいつも 飛行機雲 私はずっと 地を這う轍
交差したふりして すれ違う天と地は 遠く離れている
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