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作品名:詩抄 V 作者:鳴瀬羽迦

第1回   青い空の下で/無垢な瞳
  


  青い空の下で
 



美しい空が切り裂かれた
雪はじきに舞い降りて
枯れた大地に降り積もる


屍はやがて凍りつくだろう
君はその光景を見るために生まれたのか
意志よ目覚めて


青い空の下で泣いている
冷たくなった母の胸と
枯れた地に佇み


幼子には空は高すぎて
高かすぎて届かない
爆撃の銀の鳥が飛ぶ青い空


地平線をにらむ眼
その先は空に近づいているのか
君は歩き始めるだろう


どんなに遠くても
深い海に阻まれても
君の眼に映る道を行くだろう


空まで届くことのなかった
悲痛の叫びを運ぶ
大地の上を世界中に谺するまで



   
    【谺=こだま】
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  無垢な瞳





泣かないで 悲しい目をしている

大きな目 黒い瞳 世界を映していた

吸い込まれてゆきそうだよ

あなたの覚えた 悲しい世界に

いつから笑顔を忘れたの

いつから笑えなくなったの

泣かないで そう伝えたかったけど

違った 涙さえ 忘れてしまったこと

その瞳は 訴えている

涙を流そう いっしょに

辛い海が干上がるまで 泣こうか

潤いの雨となるまで 泣こうか

あなたの瞳の奥 望む世界が映るまで




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