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作品名:詩抄 IV 作者:鳴瀬羽迦

第9回   風の歌/夜と朝を繰り返し




  風の歌




紅い夜空を見た

眠れない街に 疲れを覚えて

ノイズをオフにする

耳もとで鳴る風の音だけを 聴く

風は歌う

何者も 敵わない音色を鳴らす

大地と森と 海と空の シンフォニーを織りなし

どこまでも運び 伝える

懐かしさに 身を包まれれば

寂しさも 悲しみも 苦しみさえも

この手にとって 慈しみ

風と戯れる






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  夜と朝とを繰り返し




新しい朝は そう
自分が決めた時から始まる
陽の光は きっと 眩しいね
胸の鼓動が高鳴った日々 思い起こす


手探りの夜は 何も見えなかったけど
新しい朝を探すために 大切な時間だった


日記を書いては 何度も破って捨てた
だけど意識から消したはずの痛みも
命には 刻まれている


忘れてしまった喜びも
きっと 刻まれているね
知らない間にも また
刻んでゆく 刻んでいる


夜と朝を繰り返し
この意識も やがて
永遠(とわ)に 連なってゆくのかな
宇宙のものとなり
あまねく浸透してゆくのかな


ふと 浮かび上がる 柔らかく切ない温もりを
この ささやかな喜びを 忘れることなく


宇宙へ注ぎたい……
宇宙に返したい……




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