流れるままに委なりて
息を潜めるように
静かなる時を
流れる風のままに
想い添わせて
ただ深い眠りにつくためか
ただ目覚めるためにか
今を歩いている
燻る修羅の心ももう
遠く置き去りな気がする
全てありのまま
怒りも悲しみも淋しさも
そのまま記憶されてゆく
喜びは小さな鈴の音のように
心地よく響くけど
この眼を透して
見るものたちはいつか
この眼を失うとも
また誰かの眼に映り
静かに繰り返されるのだろう
その流れに委ねられてゆく
その一筋になってゆく
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静穏
穏やかな気持ちがここにあって
風のない湖水に浮かぶ小舟の上にいるような
新緑の香りと透明な光を浴びて
今は漣も立てたくないから
漕ぐ手を止めて空を見つめている
時々こんな気持ちがやって来る
怒りも消えて
でも喜びもない
ただ静かに呼吸を繰り返し
聴こえてくるのは時を刻む音だけ
ぼんやりとスクリーンの物語を追うように
今日の日が明日へと移り変わって行く
【ルビ】漣=さざなみ
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