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作品名:詩抄 IV 作者:鳴瀬羽迦

第4回   意志/いつしか大地と成りゆくもの



  意志




待ちわびていた空は
朽ち果てた壁のように崩れだす


虚ろな目で彼らは
何を見ているのだろう
収縮してゆく心が痛ましい


止まらない時に
逆らうようにして立ち尽くしてみるけど
自ら呼吸していることに
気づいて驚く


意識の底では明日へと
知らず知らずに命を運ぶ


霞んでしまった視界を取り戻すとき
感じる生命の素直な作用を


湧き出流る真水のように
濁ることなく溢れ


その水流は誰しもの根底を流れている


運ばれて行くのではなく
運んで行こう自らの意志と命で臨む世界に




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  いつしか大地と成りゆくもの




大海に小石をポンっと投げ入れた

小さな波紋は波にすぐさま消される

だけど投げ入れ続けよう

投げ入れ続け水面に輪を描き続ければ

そこに誰かいるんだねと

空を渡る鳥たちがチラリと気づいてくれるかもしれない

それでいいんだ

海の底には小石が積み上がってゆく

それはSOS

それは見果てぬ夢

あるいは感動

いつしか心の宝物

いつしか大地と成りゆくもの




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