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作品名:詩抄 IV 作者:鳴瀬羽迦

第16回   あたたかなる時と空間を望みて/雨粒みたい



  あたたかなる時と空間を望みて




此処にこうして居る
自分を感じられる時の短さ

生まれる前の私を知らなくても
世界はそこにあった
この先も私としての時と空間がなくなっても
世界はそこにある

誰に生まれてきても
何処に生まれてきても
いつ生まれてきても

そこは生命を温かく包む
時と空間であって欲しい

私たちには創れるのだろうか
そんなあたたかな世界を
いいえ創ることできるのは
今を生きる私たちだけなのだろう

今この瞬間に暮らす私たちだけなのだろう
いつも いつだって 此処が未来の始まりならば

そうして育まれた時と空間は
次の私たちを きっと 優しく迎えてくれる





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  雨粒みたい




六十二億の人達 動植物も合せたら
どれほどの生命体が この地球上に存在するのだろう
生き死にのドラマは 繰り返され

無数の雨粒たち 上空の雲から地上に降り
それは命の一生のようだよ と あの子に話した

ほんとうか なんて解らないけど
あの子が死はなんだか恐そうと言ったから
そうではないよ と 伝えたかった

様々な路を辿り また上空の雲となる雨粒は
けっして 元の一粒ではないよね
水溜まりに混ざり 地面に吸われ 蒸発し
雨粒たちは一粒一粒に その全てを混ぜ 生まれ変わる

そして 命も同じような感じ その一粒を
この身体や あなたの身体が受け止めたのかもしれないね
気づかないだけで でも私たちには
全ての記憶が溶込んでいそう

世界で最高齢の人は何歳だろう
百十五歳かな だとしたら百十六年前まで生きていた人は
今 一人もいない でも命は次にバトンタッチされ
そうやって途切れることなく 連なっているんだよ

死は 生きる力が十二分にあるときは
怖く感じるものなのだと思う

宛のない心配はしないで 今 出来ることを
そう 今を 精一杯生きようよ ね




【メモ】2009年現在の世界人口は68億人


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