月は闕と 中国の詩にみつけた
闕には 宮殿の門 という意味があるようだ
そう言えば MOON アルファベットでも 月は門みたい
暗闇に開いてゆく 光の門 のごとくなのか
細い三日月の 今宵に想い 問い掛ける
月は不思議だ いつからそこに
この星に 添うようにいるの
その晩 SFみたいな夢をみた ナビゲーターは 夜の風
「月はタイムマシンだったのだって」
お喋りな好きな夜の風は 小耳に挟んだ話しをしたくて たまらないみたい
「人類が使いこなせるようになるまで それはシークレットなんだけどね」
まだ眠りも浅い耳元に 語りかけてくる
「満ち欠けしながら 人々の心を育てる役目を
太陽と約束したのだって 太陽は心配していたからね
星にも寿命があって いつか燃え尽きてしまうことを
地球はゆりかご 太陽は生命を育んで 月は心を育んで
太陽系の惑星たちは それぞれの役目があって」
たたみかけるように一頻り 気がつけば風に巻かれ宙に浮かぶ
映しだされる太陽系のスクリーンを見た そして やっと口を挟む
ーーそうだね 木星の活躍はめざましいこと 私だって知っているよーー
ーー巨大な彗星を その身に受けてーー
「そう 盾となって守ってきた この家族たちを」
ーーそして誰の置き土産なのーー
ーー心を象るような あの月はーー
「いつか人々はタイムマシンという その船に乗るんだって」
ーーどこへ行くの その門をくぐりぬけ 遥か 遥かにーー
夜の風はちょっと辺りを気にしているようす
不思議な宇宙の物語り と 月は聞かぬふりして 目を細め 笑っているだけ
そうすると 夜の風が こらえ切れずに こっそり耳元でささやき 教えてくれた
「太古の宮殿って言う ゆりかごに揺れる生命に」
「プレゼントを届けに行くんだって……」 ーープレゼント?ーー
くるくる想いが回りながら 深い眠りにおちてゆく
「最初に……月が……あったのだよ。」
ーー誰?ーー
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