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作品名:詩抄 III 作者:鳴瀬羽迦

第4回   大地の矛盾/使い捨ての時代
     
     
     
     大地の矛盾
     
     
     
     
     地球は一回りして
     天の星たちに その姿を晒している
     
     
     朝へと明けようとしている地の
     その悲しみに オリオンが手を振る
     
     
     どんな物語りを携えて
     この夜 私たちの頭上に星座は輝くのだろう
     
     
     戦乱の 彼の地の人々の息づかいや その家族の嗚咽
     大気の中 微かなこだまが残っている
     
     
     それらは風の音に変わり
     享楽のビルの谷間を吹き抜けてゆく
     
     
     オレンジ色を含みはじめた陽の光は
     優しく 温かくあるけど
     
     
     この大地の矛盾を
     天の星たちは 見つめ続けている
     
     
     
     
     
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     使い捨ての時代
     
     
     
     
     新しい物が造られて
     要らない物が増えてゆく
     
     
     新しい物のために
     汚れてゆく大気と
     切り倒される樹木たち
     そして大地は腹痛をこらえ
     
     
     新しい物それは
     ほんとうに必要なのだろうか
     溢れかえる廃棄物が
     野原に山となる
     
     
     宇宙空間では地球を使い捨てた後に住む
     宇宙ステーションを試作している
     
     
     だけど誰も住むことなどできないよ
     このまんまでは
     いつものように喧嘩が始まれば
     天井にも床にも穴が開くから
     
     
     そうして掃除機に吸われるように
     みんな宇宙空間に吐き出されてしまう
     
     
     地球は辛抱強い
     とっても丈夫なようだけど
     どこまで我慢できるのだろう
     
     
     
     
     


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