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作品名:詩抄 II 作者:鳴瀬羽迦

第7回   風の渡る丘/写真
     
     
     
     風の渡る丘
     
     
     
     
     桜の翁が若葉を揺すり さわさわと歌う
     
     針葉樹は天を指す梢を こうごうと唸らせ
     
     イチョウは囁くように 木の葉を震わす
     
     見渡す空に 雨を含む雲が集まってくる
     
     流れる風は身体をくるみ 次には過ぎ去り
      
     時代(とき)を忘れる 風の渡る丘に立つと
     
     眼下の谷間に今は 煩雑な街が横たわっていても
     
     耳もとで鳴る 風の音は懐かしさを呼ぶ
     
     悠久という 懐かしさを
     
     
     
     
     
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     写真
     
     
     
     
     ふと 目に映る
     可憐な花 きれいな空の雲の形
     心に触れる風景
     
     覚えていたい ありのままに
     感じた気持ちと一緒に
     いつまでも そのままに
     
     でも 明日には違う顔
     記憶の箱もいい加減
     風化する気持ち 止まらない
     
     ファインダーを覗いて
     私の目の代わりに
     私の記憶の箱の代わりに
     
     時を切り取り 仕舞っておこう
     感じた気持ちと一緒に
     いつまでも そのままに



     


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