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作品名:詩抄 II 作者:鳴瀬羽迦

最終回   あたたかなるひととき/冬の朝に
     
     
     
     あたたかなるひととき
     
     
     
     
     なにか嬉しいことが起きるのを
     知っているわけではないのだけど
     なんだかとっても楽しい気持ちが
     心の奥から湧き上がってくるよ
     
     
     
     キッチンで料理するときはことさらに
     食材たちがとても可愛らしく美しく見えてきて
     その生立ちを思ってありがとうなんて呟いたり
     その横では子どもがニンジンの気持ちなんて言って
     野菜を刻むたびに「イタイ、イタイ!」と
     声をあげて代弁したりしているのだけど
     
     
     
     それでもなんだろう
     とってもあったかい
     とっても柔らかな温もりがそこにある
     
     
     
     なにか嬉しいことが起こるのを
     知っているわけではないのだけれど
     そうしてとっても楽しい気持ちが
     心の奥から湧き上がってくるよ
     
     
      
     -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
     
     
     冬の朝に
     
     
     
     
     朝が来ることを
     
     疑うことなく 人は眠り
     
     もう少し 毛布に包まっていたいなんて
     
     眠たい目をこすり 始まる一日
     
     いつから こうだったかな?
     
     いつから 続いているのだろう
     
     私という この感覚
     
     永遠(とわ)にも感じる
     
     振り返れば 思い出は瞬く間なのに
          
     とても長遠に感じる
     
     ゆっくりと回っているみたい 
     
     星の動きが 心時計の秒針になる
     
     早送りな街時間を外れてみれば
     
     木々の静かな呼吸音が 聞こえてくる
     
     やわらぐ樹皮のしたの 命の躍動を感じつつ
     
     

     
     


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