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作品名:月影想詩 作者:鳴瀬羽迦

第5回   形なきもの/新月
     
     
     
     形なきもの
     
     
     
     
     月のない夜には 泣こうか 雨の雲の誘い
     
     湿度を含む空気に 触れる肌は 人を模る
     
     私たちは 何者なのだろうか 喪失の記憶
     
     この身に 納まるだけの 小さな心なのか
     
     瞳の窓から 見渡す世界に 境界を覚える
     
     堪え難き閉所 ミストの光 あふれだして
     
     遥かなる空間 漂う意識に 形はなかった
     
     
     
     
     _______________________________
     
     
     
     新月

     
     
     

     夜空に顔を向けると

     月のない闇が広がっているけど

     歌など口遊みながら

     ゆるやかな坂道を登って行くのです

     聞こえて来ませんか

     誰かがどこかで「淋しい」と呟いた声

     宇宙に放たれた無数の想いが

     この地上に降りそそがれるのです

     今宵は星たちの口笛に誘われ

     この両腕に拾い集めた

     想いたちを帰しましょう

     やがて西の空に細き三日月が現れて

     闇夜に漂う想いたちを

     満ちてゆく光りで包みましょう




    


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