形なきもの 月のない夜には 泣こうか 雨の雲の誘い 湿度を含む空気に 触れる肌は 人を模る 私たちは 何者なのだろうか 喪失の記憶 この身に 納まるだけの 小さな心なのか 瞳の窓から 見渡す世界に 境界を覚える 堪え難き閉所 ミストの光 あふれだして 遥かなる空間 漂う意識に 形はなかった _______________________________ 新月
夜空に顔を向けると
月のない闇が広がっているけど
歌など口遊みながら
ゆるやかな坂道を登って行くのです
聞こえて来ませんか
誰かがどこかで「淋しい」と呟いた声
宇宙に放たれた無数の想いが
この地上に降りそそがれるのです
今宵は星たちの口笛に誘われ
この両腕に拾い集めた
想いたちを帰しましょう
やがて西の空に細き三日月が現れて
闇夜に漂う想いたちを
満ちてゆく光りで包みましょう
|
|