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作品名:「神秘の因果」 作者:天鷲乃扇

第1回   始まり
 地上6階。それほど高くは無いが眺めは良い。カレンダーを見る。。確か今日は日曜日だった筈だ。カレンダーの上には、綺麗な花に止まるミツバチの写真があった。黄色と黒の縞模様が有る。う
 黄色と黒は警戒色だった気がする。警戒色とは毒を持つ動物が目立つ色をして、一度相手に不快な思いをさせる事で、その色を見ると不快な感覚を戻すための色だ。テントウムシやハチが利用している。人間も工事の策に利用しているが、やはりハチを見ると本能的に警戒し、注意してしまう。そこで携帯電話が鳴って思わずびくっとしてしまう。旧友の黒神だ。
「こちら黒神だけど、そちら渡辺さんでよろしいでしょうか」
「はい。そうです」
「懐かしいな。携帯の番号変えてなかったのか」
「要件をおっしゃて下さい」
「敬語続けるなよ。よそよそしい。5年の歳月でもう他人か?」
「要件をおっしゃて下さい」と続けてみる。
「分かった。だから敬語やめてくれ。今なテレビでちょっとした奇跡を"神秘の因果"って言ってたんだよ。面白くない?"神秘の因果"なんてどこかの司教がいいそうだ」
「それだけの事でかけたのか?5年の歳月でもそれほど慣れなれしくは無いだろ。急に親友並みだ」
「もう一つ。重要な事だ。今からそのビルは崩壊するから避難しろ。早急に」
「は?何のジョークだ」訳が分からなかった。
「真実だ。とりあえず毛布や布団やらで体を巻いて風呂場に逃げろ」地震か?
気づいたら電話が切れていた。サプライズだろうと思った時にカレンダーのハチが目に止まった。警戒色が俺の体にどう作用したのか、毛布やら布団やらを持って風呂場に走りこんだ。そこからの事はうまく覚えていない。
 遠くで複数の爆音がしたかと思うと、いきなり落ちる様な感覚があり、瓦礫が音を立てていく様な音がした。曖昧な感覚だったが、明らかなのは自分が非日常的な状況にいるということだ。生きているのか?しんでいるんのか?それ自体が分からない。落ち着いたと思った所で周囲を見回す。いくつもの壊れた物と焦げた匂い、幸い自分は生きている様だが、ここからどう出るか。問題はそれだ。


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