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作品名:『ダンナさまは18歳。』 作者:英庵

第9回   勇気をもらって

6月19日(金) 定時後

翔子「販売部の星、早智子先輩。 がんばって下さ〜い!」
  そういうと、翔子はご陽気に合コンに出掛けていった。
  プレゼンの不安にかられながら、翔子の背中を見送る早智子。

早智子「コロコロピラフ食べに行こうかな。」
  そうつぶやくと、早智子の足は自然と龍之介のいる喫茶店『ポプラ』に向かっていた。


『ポプラ』の前。
「ウィーッ。」自動扉が開く。

「いらっしゃいませ。」龍之介の元気な声が聞こえてきた。

早智子「元気そうね。」弱々しい笑顔で早智子は龍之介をみた。

龍之介「早智子さん、元気なさそうですね。 宿題イマイチだったかな?」
  あっけらかんと龍之介が聞いてきた。

小さい頃から苦労を乗りこえてきた龍之介にとって、販促案の結果なんて小さいことのようだ。
龍之介のそうした姿が早智子の気持ちを少し楽にさせた。

早智子「そうじゃないの。 最終審査に残っちゃって。 少し不安なの。」
 そう胸の内を明かしながら、窓際の小さなテーブル席にすわった。

龍之介「なんだ。良かったじゃないですか。 また、僕手伝いますよ!」

そんな龍之介の言葉に、見かけとは異なる男としての逞しさを感じる早智子。
“なんだか少しだけど勇気が湧いてきた。”

なのに、ふと眼を奥にやるとマスターをこっちを見ている。

龍之介もそれに気づき、2人は眼を合わせた。 “マズイッ!!”

早智子「また私コロコロピラフにするわ。この間美味しかったから。あと、ウーロン茶。」
 早智子は気にいったメニューを何回も続けて頼むタイプ。その代り飽きるのも早い。

龍之介「コロコロピラフとウーロン茶ですね。」
 そう言うと、龍之介は奥にオーダーを通しに行った。

しばらくすると、龍之介がコロコロピラフとウーロン茶を運んできた。
そして早智子は、マスターに気付かれない様に
待っている間に書いたメモを龍之介に手渡した。

メモを受け取った龍之介はすぐさま化粧室に入っていった。
そして、手洗い場所の隅でドキドキと高鳴る鼓動をおさえながらメモを見る。

『 明日、また1時に来て! 』
“やった!” 龍之介は早智子とのデートに心を馳せながら、明日『ポプラ』を休む理由を考えていた。



6月20日(土)朝

今日は、朝の8時まで熟睡した早智子がいた。 さすが“旬の女”慣れるのがはやい。

顔を洗い、テレビ『知っとき!』を見ながら昨日ヘブンイレブンで買った明太子おにぎりを食べている。
そして9時半になって、いつものようにナチュラルメイクを手際よく済ますと携帯ショップのソフトサンクスへ出かけていった。


店員「いらっしゃいませ。」

早智子「もう1つ携帯を持ちたいのですけど。機種はこれと同じのでいいわ。」
   自分のルージュピンクの携帯を取り出しながら、キャリアっぽく早智子が言った。

店員「お客様。 今なら1台で2つの電話番号とメールアドレスを利用できるサービスがございますが。」

早智子「いいです。 この色以外に何色がありますか?」
   自分の携帯を示しながら、店員に聞く。

店員「この中から選んで頂くことになります。」
   カタログを出しながら、店員は早智子の顔をみた。

早智子「このブルーありますか。 今日、欲しいのですが。」

店員「はい、ございます。」

少し嬉しそうな早智子。
早智子は気持ち良く手続きをすませると、“デート。デート。早く帰らなくちゃ。”とトコトコ家に帰って行った。


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