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作品名:『ダンナさまは18歳。』 作者:英庵

第32回   陽斗効果

龍之介「早智子ママ、32回目の誕生日オメデトウ!」
  グラスに入った赤ワインを視線の高さに掲げる龍之介。

早智子「32回は余分なの!」
  頬を少しふくらませながら早智子もワイングラスを上にあげた。

すると龍之介はワイングラスをテーブルに置き、
木製のベビーベッドから陽斗を自分の顔の横に持ち上げていった。

龍之介「ママ、ボク・ガ ウマレテ ハジメテ・ノ タンジョウビ オ・メ・デ・ト・ウ!」

早智子「陽斗くんは言うことがいつもカワイイよね〜!」
  龍之介のそばに寄って、陽斗の頭をクシャクシャに撫でながら言う早智子。

“言ったのは僕なのに‥。”少し気分をガイしている龍之介。

こうして陽斗くん中心の誕生日パーティーが始まった。

龍之介お手製のロールキャベツを2人が食べていると突然陽斗が泣き出した。
「陽斗くん、お腹が空いたのでちゅか。」早智子が授乳の準備を始める。

龍之介は“今だ!”とばかり寝室に行き
大きな紙でラッピングされた巨大な物体を持ってきた。

早智子「何それ?」 
  リボンのついた巨大な物体に期待をしながら、龍之介に聞く早智子。

龍之介「開けてみて!」

早智子「陽斗くんに母乳あげないといけないのに‥。」
 そう言いながら、陽斗をベビーベッドに戻すと巨大な物体の紙をすぐに剥がしはじめた。

早智子「何だ、こりゃ?」早智子はU字型の大きなピンクのクッションを持ち上げる。

龍之介「それ、授乳クッションっていうやつだよ。」
  少し得意げに鼻に指をあて龍之介は続けた。

   「“授乳すると、腰痛や肩こりが大変”って聞いたんで‥。
    クッションをお腹にはめて、その上に陽斗を乗せて授乳すれば、
    陽斗の重みを支えて、肩や腰を楽にするんだって。
    僕からの誕生日プレゼントだよ!!」

早智子「龍ちゃん、ありがとう!」
  そういうと、早智子は龍之介に抱き付きホホに「チュッ!」とキスをした。

最近、陽斗に主導権を握られていた龍之介は満足そうに頬に手をあてる。

「オギャー。オギャー。」 陽斗が再び泣き出した。

早智子はピンクのクッションをお腹にはめ、
その上にベビーベッドにいた陽斗を乗せて授乳を始めた。

「ラクチン。ラクチン。」早智子は右頬にエクボを見せながら龍之介に感想をいった。

早智子「陽斗くん。 優しいとこはパパに似ていいのよ。
    でもママの方を好きになってね〜!」 そう言いながら陽斗に母乳をあげる早智子。

 一方、
 陽斗を育てながらますます逞しくなる早智子を見ながら、
“俺も負けないぞ!”と来年の抱負を頭に思い浮かべ、決意を秘める龍之介がいた。


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