1月中旬の日曜日、早智子と龍之介は夕食を食べながら仕事のコラボについて話し合っていた。
早智子「龍ちゃん、仕事のコラボどうする?」
龍之介「そうだね。さっちゃんと僕の両方の仕事が上手く行くのが理想だよね。」
早智子「前回の販促キャンペーンは“誕生花の香水”だったから、今回は本当の“誕生花”をあげたいな。」
龍之介「そうか。だったら、『フィールド』でその花を用意しようか? さっちゃんの会社のポイント○○点で、 『フィールド』のネット販売を通して“誕生花”を貰える。」っていうのはどう?
龍之介の花屋『フィールド』は龍之介の提案で昨年ネット販売を始めたが、まだ知名度が低く売り上げは伸びていなかった。
早智子「そんなので、龍ちゃんのお店にメリットあるの?」
龍之介「うん。花を大量に仕入れることができるから仕入れ単価を下げることができるよ。 仕事量はだいぶん増えそうだけど。」
早智子「そのへん、あとで詰めようね。」
龍之介「あと、『フィールド』のポイント○○点で、早智子さんの会社の『誕生香』を貰えたら嬉しいな。 そしたら、ネット販売も伸びると思うんだ!」
早智子「そうね。 『誕生香』ならもうノウハウあるし、提案してみるね。」
龍之介「上手く行くといいね! がんばろうね。」
早智子「うん。」 龍之介と早智子は初めて挑戦するお互いの仕事のコラボに “2人で幸せになる夢”を描いていた。
早智子「あと、もう一つ話したいことがあるの。」 早智子は半分照れくさそうに切り出した。
龍之介「なに?」
早智子「私、今月まだなの。」 そういって早智子は下腹部の方に目をやった。
龍之介「えっ、ホント?」 龍之介が“驚き”と“期待”の混じりあった表情でいった。 「で、検査はしたの?」
早智子「今日が予定日の1週間後だから、今から検査しようと思って‥。」 そう言うと、早智子はバッグから今日買ってきたデジタル妊娠検査薬を取り出した。
早智子がトイレに検査薬を持ち込み検査に入る。 龍之介は落ち着かない様子でトイレの前に立っている。
早智子「さあ、あとは1分間待つのだぞ。」 そういって早智子がトイレから出て来た。
早智子がスティック状の検査薬を机の上に置く。 2人は無言になり顔を突き合わせてディスプレイをのぞき込んでいる。
‥‥‥。
1分後、 ディスプレイに 陽性の“+”の記号が浮かび上がった!
龍之介「ヤッター!!」龍之介の声がマンションの小さな部屋にコダマした。
早智子「まだ分からないわよ。99%の確率なんだから‥。」 そう言いながらも早智子の目じりは下がり、右頬にはエクボが浮かび上がって?いる。
翌日、早智子は早速医師の診断を受けに行った。 検査を終えた医師は、前日の2人の会話を知ってか知らずか早智子に言った。
医師「おめでとうございます。 お二人の“愛のコラボ”が新しい生命を育み始めました!」
医師の前で、お腹を左手で触りながら右手で“ガッツポーズ”をする早智子がいた。
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