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作品名:不釣合いなカップル 作者:英庵

第4回   4
雄太の左には小谷が座った。小谷は智美のことが好きだったが今でもそうみたいだ。
しかし、智美の反応はイマイチ。

“おい、オレもこうならんとってくれよ。”雄太は心の中で願い、愛のほうを見た。
 愛は相変わらずポワンとしている。

左から小谷、雄太、智美、愛。 4人は3年6組で班も同じだった。

「乾杯!」山川の音頭で同窓会が始まった。

4人はすぐ31年前にタイムトゥリップした。
「ホンマうちら仲ええなぁ。」そんなことを言いながらあっという間に1時間が過ぎていった。

「せっかくやから他のテーブルも廻ってくるわ。」雄太が言った。

「そやね。」他の3人もそう言って席を立った。

雄太は6組のもう1つのテーブルに歩を進めた。

「おお。川島。久しぶり!森口博美を見るといつも川島を思い出すわ。」雄太が言った。
 川島は元祖バラドル:森口博美の従姉妹である。
 大きな目の川島は何もいわずにニコリと笑った。従姉妹の割には川島はおとなしい。

「モンダミンは使っとんのか?」無理やりな質問を雄太がした。

「そこまでしてへんわ。」川島が声を出して答えた。

「生きてた!良かった。」雄太がそういうと、横から山口が絡んできた。

 山口は川島と違い、機関銃トークが売りだ。
「雄太君、久しぶり!元気してた?雄太君高校で俳優の堤田真一と一緒やったでしょ。
 どんな人やった?何クラブやった。」一気にまくしたてた。

“おいおい、久々に会って聞くのは堤田真一かい。ミーハーか。”雄太は思ったが、
 それを口に出すと2、3倍のセリフが帰ってくるため言葉を呑んだ。
「バドミントン部。」雄太が答えると、

「うっそー。意外やわ〜。でもカッコイイ。さすが真一君!」

「いや。俺がバドミントン部。」雄太が答えると、

「ダッサ〜。誰があんたのクラブ聞くねん。シ・ン・イ・チ・ク・ン!」

予想通りの反応に雄太は続けた。
「あぁ。クラブには入ってないで。俳優学校に通っとったみたいや。」

「ふ〜ん(ハート)。」山口は満足して去っていった。
 台風一過 気分も晴れ ○ 


約30分が過ぎ、雄太は元のテーブルへと向かった。

すると愛の隣に一人の男が座っていた。
“高橋だ。”雄太は思った。
 高橋は中学時代はおとなしく目立たなかった。
 しかし、今はブランド品で身を纏っている。どうやら愛を口説いているらしい。

「おう高橋!久しぶり。えらい雰囲気変わったなぁ。」雄太は声をかけた。
 愛は眼を少し細め、安心したような表情を見せた。

「そうか?オレはあんまし変わってないで。」高橋はサングラスに手をやりながら答えた。

雄太は高橋と愛の間に歩を進めた。

「あー面白かった。」そこへ智美も帰って来た。
 智美も状況を察知し雄太の隣りに歩を進めた。

 しばらくの沈黙。

「ほんならオレは他をまわってくるわ。」
 高橋は2つ向こうのテーブルへと去っていった。

雄太と智美と愛は顔を合わせ微笑んだ。

そこへ小谷が戻ってきた。

「あんたいっつもタイミングずれとんな。」智美が小谷に言った。

小谷は訳がわからずキョトンとしている。
「へっへぇー。」と小谷が頭を掻いた。
そこには授業中に居眠りをした後、周りを見渡し頭を掻く中3の時の小谷の姿があった。

「はっはっは。」4人は顔を見合わせ、晴れやかな表情で笑った。


「そろそろ一次会を終了します。」
「二次会はカラオケボックス チャンカラで行います。」幹事の山川の声が響いた。

「二次会行こか。」雄太が言った。
「そうしよう。」3人が答えた。

「雄太君。」愛がポワンと雄太の横に近寄ってきた。
 そして、雄太と愛は歩を合わせて歩きはじめた。
 中3の時のお互いの姿を想い出しながら。


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