しっかりと07の首に抱き付いたまま、咄嗟に目を閉じると、ガブリエラは叫ぶように聞くのだった。 「どうしたの!?何をするのつもりなの―――・・・!!」 「大丈夫だ」と、07はそう答え、決して人間には真似することのできない、脅威の身体能力で、向かいのビルの屋上へと飛び移ったのである。 07は、ガブリエラをその腕に抱いたまま、ホテルの最上階にあるペントハウスのベランダから、このビルの屋上まで、実に7m余りの距離をワンステップで飛び越えたのだ。 07の身体能力は、他のヴァルキリーたちを遥かに凌ぐ。 彼の人工人体は、骨格から人工筋肉の繊維に至るまで、強化型として造られたものなのだ。 彼以外のヴェルキリーには功を奏する対人用弾丸も、彼の身体に傷一つつけることもできない。 そんな07の意図が全くわからぬまま、ガブリエラは、薄らとその綺麗な瞳を開くと、恐る恐る、彼の顔を仰ぎ見たのである。 07は、豪華な金色の髪をビル風に揺れらしながら、先程までの冷酷な無表情と打って変わった、実に自然な表情で小さく微笑っていた。 ガブリエラはそんな07の首にぎゅっと抱き付いたまま、きょとんと目を丸くして、流麗な美貌を持つその顔を、まじまじと見つめたのである。 「・・・笑ってる・・・?あんなに怖い顔してたのに?やっと、笑ってくれたの?」 思わず、そんなことを聞いたガブリエラを、綺麗な金色の瞳で顧みると、07は、ビルの屋上を俊足で走り抜け、軽く手すりを飛び越えた。 「きゃ・・・!きゃぁぁ――――・・・・!」 ガブリエラは、再び悲鳴を上げる。 そんな彼女を両腕に抱えたまま、07は、宵闇のビルの谷間へと、再びその身を舞い躍らせたのだった。 両眼を大きく見開いたまま、ガブリエラは、尚も悲鳴を上げ続けた。 体が宙に浮き、その柔らかで美しい金色の髪も、ワンピースの長い裾も、フェルトのような月の光と街の明かりの中で棚引くように揺れている。 大きな月を背景に、07の金色の瞳は、真っ直ぐに眼前のビルを見つめていた。 豪華な髪が夜気に乱舞し、まるで、背中に翼でもあるかのように、高層マンションのベランダを蹴ると、その体は、舞うようにして、ほぼ垂直に、どんどん上層階へと跳躍していく。 体が引力に引き戻されそうになると、その足先は正確にベランダの手すりの縁を蹴り、それがある種の推進となって、夜の合間を更に上層階へと向かう。 眼前に聳えるオフィスビルの屋上が見え始めた時、07は軽く体をひねって、躊躇う事無く宙に身を投じたのだった。 余りにも軽ろやかに、そして、舞うようにビルの谷間を飛び越える07の姿に、ガブリエラは、高所の恐怖に慄きながらも、思わず、こんなことを呟くのである。 「背中に羽根があるみたい・・・・・!」 フェルトのような月影に、ガブリエラを両腕に抱えた07の姿が映し出された。 彼の長身が羽織る、黒いコートの長い裾が音も無く翻り、オフィスビルのフェンスを吹き付ける風のようにふわりと飛び越える。 その足先が屋上へと降り立つと、07は、ふと、そこで立ち止まり、自らの首にしがみついたままでいるガブリエラに、ゆっくりとその視線を向けたのだった。 ガブリエラは、そこでやっと、安堵したように大きくため息をつく。 そんな彼女を腕に抱いたまま、07の金色の瞳が、再び前方に向き直ると、そこには、このビルよりも僅かに高いだろう、ツインタワーのオフィスビルが悠然と聳えていたのだった。 長い睫毛に縁取られた澄んだ蒼い瞳で、07の涼麗な顔を仰ぎ見ると、ガブリエラは、純粋な眼差しのまま、その綺麗な桜色の唇でひどく楽しそうに笑ったのである。 くったくない口調で、彼女は言う。 「あなたの背中には、羽根が六枚見えるよ。とっても綺麗で、凄く大きな羽根」 その言葉に、07は、僅かばかり怪訝そうな顔つきをして、ちらりとガブリエラを振り返った。 豪華な金色の髪と黒いコートの裾が、吹き抜けるビル風に弄ばれて夜気に乱舞する。 とろけるような甘い微笑みで、ガブリエラは、嬉しそうに言葉を続ける。 「あのね。私が小さい頃にね、絵本で見た天使が、六枚の羽根を持った大天使だったの。その天使の名前はね・・・・“ミハエル”」 柔らかでふんわりとしたガブリエラの長い髪が、吹き抜ける風に煽られて、怪訝そうに眉根を寄せた07の頬を優しく撫でた。 「・・・ねぇ、あなたのこと、“ミハエル”って呼んでいいかな?嫌?名前、付けられるのやっぱり嫌かな?」 「・・・・・・」 07は、一瞬、驚いたように金色の瞳を見開くと、揺れる前髪の下で、まじまじとガブリエラの甘い微笑みを凝視してしまった。 この人間は、自分に、人間の名前を与えようとしてるのだろうか? 番号ではなく、人の名前を・・・・ 今まで感じたことのないひどく不思議な感覚が、ガブリエラの優しい体温と共に、その体にじんわりと伝わり始める。 これは何だ?・・・と、07は思わず自問した。 厄介だと思っていた自らの情緒プログラムに、その新しい感情が、確かに増幅していくのが判る。 その気持ちが静かに高揚していく。 人の名前を与えられる事が・・・・嬉しいと、自分は、今、確かにそう感じている。 嬉しいのだ・・・・ だが、人間を冷めた目でしか見てこなかった07には、こういう時、どういう顔をしていいのか判らない。 今まで、一度もそんなことを学習した事はなうのだ、ただ、命令に従ってきただけだ。 07や、他のヴァルキリー達を体(てい)の良い兵器としか、物としか見ていないトライトニアの軍部では、彼にそれを教えてくれる人間もいない。 何故なら、トライトニアにとってタイプΦヴァルキリーはあくまでも機械であり、そこに感情があるということを、軍部は全く無視しているからである。 本来は、理性的で冷酷な07が、戸惑いを覚える。 不意に無表情になってしまった07を見上げながら、ガブリエラは、困ったように綺麗な眉を寄せて小さく首を傾げた。 「やっぱり・・・今日初めて会う私に、名前を付けられるのは、嫌?」 「・・・違う」 07は、短くそう答え、その視線を、向かいに聳えるツインタワー、このオーダムで、一番高い高層ビルの屋上へと向けた。 豪華な金色の髪を夜気に揺らしながら、彼は、その艶のある低い声で言葉を続ける。 「わからないだけだ」 「え?」 「どんな表情(かお)をして、おまえに返答していいのか、わからないだけだ」 「・・・・・」 その言葉に、きょとんと目を丸くすると、次の瞬間、ガブリエラは、くすくすと可笑しそうに笑って、ふと、こちらを振り返った07に答えて言うのだった。 「さっきみたいに笑えばいいんだよ。それで、嫌だったら『嫌だ』って言っていいんだし、もし、この名前を気に入ってくれたなら『それでいいよ』って、笑えばいいんだよ」 07は、僅かな時間だけ押し黙ると、揺れる前髪の下で僅かにその瞳を細め、ガブリエラの言葉通り、その端整な唇を小さくもたげたのである。 「嫌じゃない、おまえがそう呼びたければ、そう呼べばいい・・・・それでいい」 07の返答を聞いて、ガブリエラの繊細で秀麗な顔が、まるで光が差すように嬉々として笑った。 「本当?!よかったぁ・・・実はね、『そんなの気に入らない、嫌だ』って言われたらどうしようかと思ってたの。じゃぁ、今日から、あなたの名前は“ミハエル”だね! よろしくねミハエル、私のことはガビィって呼んでいいよ!」 「ガビィ・・・?」 「そう。私、ガブリエラだから、ミリーもハイスクールの友達も、みんなそう呼ぶんだよ」 「・・・そうか」 「うん!」 嬉しそうに頷いたガブリエラに、ミハエルという名前を与えられた07が、もう一度、唇だけで小さく微笑した。 そして、彼は言う。 「ガビィ・・・よく掴まれ」 「え?」 ガブリエラが、不思議そうに首を傾げた瞬間、07は、一気に俊足を飛ばすと強靭な撥条(ばね)で足元のコンクリートを叩くように蹴り、再び、その身を虚空へと投げ出したのだった。 「きゃ、きゃぁぁぁ――――――・・・・っ!」 ガブリエラは、再び大きく悲鳴を上げた。 惑星の重力に逆らって体がふわりと宙に浮く。 驚くべき速度をもってツインタワーの屋上へ跳躍する07の・・・美しい歌姫ガブリエラに“ミハエル”と名付けられたヴァルキリーの体が、夜気に包まれるビル谷間を飛び越えていく。 風のように、本当に、その背中に羽根でもあるかのように、ガブリエラを抱えた彼の肢体が、ふわりと軽く、地上400mの高さまで跳躍する。 フェルトの月に浮かび上がる影。 ひんやりとした夜気の風に、二人の金色の髪が乱舞した。 そして、その足先が、ツインタワーの屋上の端へと到達すると、07は・・・いや、ミハエルは、綺麗な顔を強張らせているガブリエラをちらりと見やって、その体をしっかりと腕に抱いたまま、ゆっくりと、屋上の真中まで足を進めたのだった。 揺れる前髪の下から、夜空に浮かぶフェルトのような黄色い月を仰ぎ見ると、徐に、彼は言うのである。 「此処が、オーダムで一番・・・月に近い場所だ」 「え?」 ガブリエラは、大きな蒼い瞳を再びきょとんと丸くすると、何故、彼が、自分をこんな所まで連れてきたのか、やっとその意図を理解して、不意に、日の差すような笑顔を秀麗な顔に浮かべるのだった。 「私を・・・月の近くに、連れて来てきてくれるつもりだったの?あの曲みたいに?」 「・・・・・」 ミハエルは何も答えず、だた、決して美しくはないくすんだ黄色い月をじっと見上げただけである。 それでも、ガブリエラは、とても嬉しそうに甘く微笑んで、彼の首にぎゅっと抱きつくと、人間と同じ体温を持つ彼の頬に自らの綺麗な頬を寄せ小さく囁いた。 「ありがとう、私、とっても嬉しい・・・っ!ちょっとだけ怖かったけど、凄く嬉しいよ、ミハエル!」 だが、彼はやはり無言だ。 きっとまた、どんな表情をすればいのかわからないと、そう思っているのかも知れない。 ガブリエラは、ミハエルの腕に抱えられたままの姿勢で、くすくすと無邪気に笑いながら、フェルトのような懐かしい月を見上げるのだった。 都会の雑踏が遮られた、オーダムで一番高いビルの屋上には、静かな夜気が立ち込めるだけで余計な音など何もしない。 だだ、高層ビルの合間を吹き抜ける強い風の音が聞こえるだけである。 その風に、日の光の切っ先にも似た金色の髪を泳がせながらガブリエラは、小さく小首を傾げると、ミハエルの涼麗な顔を、澄み渡る大きな瞳で真っ直ぐに、見つめたのだった。 そして、どこか切なそうに微笑すると、改まった静かな声でこう聞いたのである。 「ねぇ、ミハエル・・・・お父さんは・・・・私のお父さんは・・・本当に死んだの?」 ミハエルの金色の瞳が、ゆっくりと、そんなガブリエラを振り返った。 鋭さは失っているが、それでも、無機質な無表情でミハエルは短く答える。 「ああ」 「・・・・・・どうして、お父さんは・・・死んだの?」 ひどく哀しそうに綺麗な眉を寄せ、蒼い瞳を潤ませたガブリエラに、ミハエルは、僅かばかり驚いたようにその広い肩を揺らす。 風に揺れる長い前髪の下で切れ長の目を細めると、その視線をフェルトの月に向けながら、彼は、艶のある低い声で言うのだった。 「わからない。俺は、ただ、死んだと聞かされただけだ。もう、いなくなったと、そう聞かされただけだ」 「・・・・・そう」 ガブリエラの消え入りそうなほど小さな声が、鋭敏な聴覚センサーを掠めたとたん、ミハエルの頬に、暖かな水滴が降り落ちてきたのである。 ミハエルは、その金色の瞳を、再びガブリエラへと向ける。 すると、彼女は、大きな蒼い瞳から宝石のような大粒の涙をぽろぽろと零し、その綺麗な顔を深い悲しみと失望に歪めながら、桜色の唇を噛締めていたのだった。 その華奢な肩が小刻みに震え、白皙の頬には、金色の髪束が張り付ついて、後から後から零れる涙が月明かりにキラキラと輝いていた。 ミハエルは聞く、「何故・・・泣く?」と。 激しく嗚咽しながら、ガブリエラは、掠れた声で答えて言う。 「哀しいから・・・・お父さんが、死んだなんて・・・信じられないけど・・・でも、本当にそうなんだって・・・お父さんが、死んだなんて・・・会いたかったのに、会いたかったのに・・・」 「・・・・・」 人間は、涙を零して哀しみを表現する。 ミハエルは思う。 その人間と同じであるならば、自分も、いずれは、この哀しみとやらを感じることが出来るようになるのだろうか・・・と。 五年前、彼自身が破壊した女性体ヴァルキリー011も、こうやって、涙を流していたことがあった。 『どんなに嫌なことでも、私たちは『嫌』だって言っちゃ駄目なの!? リョータロウは、私を人間と同じだって言ってくれた!!でも、秘書官は違う!! 私は嫌!!命令なんか聞きたくない!!戦いたくなんてない!!』 あの時、011はそう言って、涙の粒を飛び散らせながら、激しく首を横に振っていた。 あろうことか011は、宿敵であるガーディアンエンジェルの人間に特別な感情を抱き、必死に襲撃命令に逆らおうとしていたのだ。 011も、哀しかったのだろうか・・・・? ふと、そんな思いが頭をもたげた時、ミハエルの涼麗な顔が、無機質な無表情から、どこか切なそうな表情へと変化する。 哀しみを訴える人間に、一体、どう接したらいいのか・・・彼にはわからない。 だが、一つ参考になるメモリーがあるとしたら、それは、五年前、011を連れ去ろうとしたガーディアンエンジェルの青年が、011に対してとっていた行動である。 011が、“リョータロウ”と呼んでいたあの青年は、戦闘の最中でも011を気にかけ、彼女の身体を常に自らの腕に抱いていたはずだ。 あの青年の瞳は、強い眼差しをしていた。 ミハエルの奮ったクラッシャーブレードで深い傷を負いながらも、あの青年は、絶対に011をその手から離そうとはしなかった。 まさか、その宿敵の行動から、今、自らがとるべき行動を決める羽目になろうとは・・・ ミハエルは、自らが腕に抱えている美しい人間の少女を顧みると、彼女の体をそっと屋上へと下ろす。 足音もなく降り立ったガブリエラは、零れる涙を止めることもなく、白い両手で顔を覆って、華奢な肩を嗚咽で震わせていた。 この少女は、ミハエルを『人間と同じ』だと言ってくれた。 あの時、何故011が、あの青年について行こうとしたのか、此処に来て、やっと理解することができた気がした。 機械ではなく、『人間と同じ感情がある者』として見られる事が、とても、嬉しいと感じる。 ミハエルは、その大きな腕を伸ばし、ガブリエラの身体をそっと抱き締めた。 ガブリエラは、それに驚くこともなく、一際大きく嗚咽すると、白く細いその腕で彼の背中を抱き締め返したのだった。 「ありがとう・・・慰めてくれるんだね・・・ミハエルは・・・優しいね」 「・・・・・・」 彼女は、本当に、今まで出会ったこともないような不思議な人間だと・・・ミハエルは思う。 ただ、人間の命令に従い、無機質に殺戮を繰り返すこの自分を、優しいと言った。 変な人間だ・・・ しかし、その言葉を聞くことによって胸の奥に湧き上がった、このどこか暖かで、奇妙な感情は、一体何なのだろう・・・ 「泣くな・・・」と答え、ミハエルは、いつになく静かな口調で更に言葉を続けた。 「大丈夫だ・・・」 ガブリエラは、ハッと肩を震わせると、涙で濡れた瞳をもたげた。 その視線の先で、フェルトの月を背景にしたミハエルが、とても優しく微笑していた。 初めて顔を合わせた時には、ひどく厳しい顔をしてしていたのに、今、彼は、本当に自然な表情で、とても柔和に微笑っている。 「・・・笑ってる・・・ミハエルが、笑ってる」 未だに嗚咽しながらも、ガブリエラは片手で瞼を拭って、哀しみの表情を少しだけで嬉しそうな表情に変えると、その両手を伸ばしてミハエルの涼麗な頬を包み込んだのだった。 「ミハエルが笑うと、なんだか、嬉しくなる」 そう言った彼女に、ミハエルは、「ガビィ」と呼びかけた。 濡れたままの長い睫毛を揺らして瞬きすると、ガブリエラは、不思議そうに小首を傾げる。 そんな彼女に向かって、彼は言う。 「さっきの歌・・・聞かせてくれ」 その言葉に、泣き顔だったガブリエラの顔が、甘く優しい微笑みを浮かべた。 夜気を孕むビル風に長く柔らかな髪を揺らしながら、失われた惑星の色に似た綺麗な蒼い瞳で、真っ直ぐにミハエルを見つめながら、ガブリエラは、小さく頷いたのである。 「泣いちゃったから・・・上手く歌えないかもしれないけど、いい?」 ミハエルは小さく頷く。 その仕草に、さも嬉しそうに桜色の唇をもたげると、ガブリエラは、そっと彼の腕を離れて、黄色いフェルトの月を背中にして立つと、改まった様子で軽く頭を下げ、大きく息を吸い込んだのだった。 長い髪がたゆたうように虚空に揺れ、ベビーピンクのワンピースが、ふんわりとした曲線を描きながら夜気に翻る。 桜色の唇をついて出た、その高く澄んだ甘い歌声が、ビルの谷間を吹きぬける風に舞い飛んでいく。
Fly me to the Moon 金の翼で抱き締めて 私を月まで連れていって 遠い空まで連れていって 窓辺を飛び越えて 澄んだ大気を飛び越えて その翼に包んで 私を月まで連れていって
目を閉じているから 今のうちに そっと 体ごと運んで あの空まで 手を伸ばせば あなたはそこにいる 暖かな指が 私の髪を撫でるの あなたの笑顔は 甘いメロディ 私を浚う 優しいアルペジオ
Fly me to the Moon 金の翼で抱き締めて 私を月まで連れていって 遠い空まで連れていって 雲を飛び越えて 輝く星を飛び越えて その翼に包んで 私を月まで連れていって 遠く 遠く 連れていって・・・
惑星トライトニアの宵闇に、甘く優しい歌姫の歌声が美しい旋律と共に響き渡る。 この美しい少女との出会いが、やがて、トライトニアの誇る冷酷なタイプΦヴァルキリー、彼女によって“ミハエル”と名付けられた07の運命を変えていくことを、この時、彼自身も知らないでいた。 宇宙の歌姫『アンジェリカ』こと、ガブリエラ・ワーズロックが、『宇宙(そら)を飛ぶ天使』と称した少年に再会するまでには、後残り約44時間。 惑星連合AUOLPすら巻き込む宇宙の波乱は、その再会から始まるのである。
【NEW WORLD 〜交響曲第一楽章〜 END】
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