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作品名:何もないピエロ 作者:森崎ユウスケ

第1回   1
住んでいる県内に中学から進学し、僕は、同じ県内の高校に進学した。

その時まで、僕は女の子と付き合った事が無かった。高校の始業式。同じクラスの

女子に一目ぼれをした。その女の子の顔は丸顔、身長は155センチぐらいだっただろうか。

笑った顔が本当に可愛かったと覚えている。

クラスで、一番右端の席にいているその女の子に僕は

「授業のノート貸して」

この一言がその女の子との初めての会話だった。それまで何も話した事が無かった女の

子に何とか話かけようとして、考えて発した言葉がその一言だったんだ。

勿論、授業のノートはきちんと書いていた。だけど、きっかけが必要だった。何かを

変えないといけない。そう思って初めて勇気を出して僕の意思で行動した。

その女の子は、

「書いてないの?」

と聞き返してきた。初めての会話、本当に嬉しかった。

その女の子は非常に真っ直ぐな女の子だったと思う。自分自身の呼称を変えて

「私」ではなく、違う呼称で呼んでいた。普通の女の子とは違う雰囲気を持っていた

その事が、僕には非常に興味深く、僕にはないものを持っていると思った。

ノートを3時間ほど借りて、返しに行くときに僕は

「ありがとう、助かったよ。綺麗な字で書いていて読みやすいね」

僕がそう言うとその女の子は満面の笑みを浮かべて、

「昔、字が汚いって言われて、字の練習をしたの。字が綺麗って言われると嬉しいよ」

僕は、字が汚い。本当に字が汚い・・・高校の時は、先生から読めないといわれた事も

ある。しかし、その女の子は字が汚いといわれて、必死で練習したと言っていた。

社会に出ても、必ず字を書くことは必要になるからと、将来の事を考えて練習したと

教えてくれた。

大切な事は、何かを言われてしなければならないと思う事じゃない。

言われた事を確認し、反省点を考え、実行に移さないといけない。

言葉では出せる、やろうと思える、だけど結果が出ない。何をしても中途半端という

言葉が最も僕に最適な言葉だった。

そのノートを借りてから気になる女の子と普通に話が出来る仲になった。僕とは違う

考え方、行動力、言動 全てが興味深くあらゆる面で惹かれた。

そして、入学から半年が過ぎて、高校に入って出来た友人、達也、祐輔という二人に

どうやって告白したら良いか相談したみた。

二人とも自分で考えろと冷たい反応。でも考えてみると、告白するのは僕だ。

友人に聞いたとしても、仮説は未定の結論にしかならない。

そう思っていても、何処で、いつ、どんな場面で告白したら良いかをしつこく聞いた

結果、駅のホームで、帰り道、帰り際にという結論になった。

僕は、自分で考えず、友達の言うとおりにその状況を作り、告白すると決めた

ギシギシと重苦しい音と共にガッシャンという表現しがたい音がこの時になり始め

何かが崩れ始めていた。






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