第一章 先カンブリア時代
第一項 総論
先カンブリア時代はプレカンブリア時代とか陰生代ともいわれています。
この時代は地球史の中では一番大きく区分された時代で、地球が誕生した46億年前から
5億7000万年前までの40億3000万年間を先カンブリア時代といいます。
この40億3000万年という時間の隔たりは地球史の全時間の87.6%にも相当する非常に長
い時間です。
先カンブリア時代は情報を得る手掛かりとなる化石も少なく、その為,最も謎が多い時代
です。
先カンブリア時代の40億3000万年という時間の長さを新幹線路線で表すとそれは博多駅か
ら新富士駅までの1028.7kmに相当します。
そして、先カンブリア時代は更に、冥王代・始生代(太古代)・原生代の三つの代に分け
られます。
この先カンブリア時代に地球の骨格が出来上がり、月も地球の周りを回り始めます。
海も出来て最も原始的な生命が登場し、更に光合成によって酸素を作り出す生物もこの時
代に登場します。
それ以外にも大きな出来事がありますが、それは各時代の項で触れることにしましょう。
ところでカンブリアとは一体、何のことでしょうか。
それはイギリスのウェールズ地方の古称です。
その昔、現在のウェールズにはケルト系ブリトン人のキムブル族が住んでいました。
カンブリアとはそのキムブルという名詞が変化したものです。
歴史年表を見ると先カンブリア時代は最も短く表されていることが多いのですが、時間の
流れを忠実に表すと、本来は圧倒的に長く表されなければならない時代なのです。
今後、地質学が進歩を遂げて先カンブリア時代の研究が深まれば、そこには驚くべき新た
な発見があることでしょう。
何しろ地球史全体の87.6%に相当する時間が先カンブリア時代なのですから、興味が尽き
ません。
そうなると先カンブリア時代という名前も変化することでしょう。
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