16年前のある日、何通かの郵便物の中に分厚い親展のスタンプが 押された大型封筒があった。洗練されたロゴがJSSと読める。 中には大学ノートほどの厚さの冊子が2冊と返信用だろう封筒が一枚。
一冊の表紙には約款、そして下のほうに財団法人日本宇宙協会の文字が、 いかにも役人好みの字体で印刷されている。 もう一冊のほうも、これだけの為にプリントアウトして作りましたと 言わんばかりの物だ。 「あなたの地球を創ってみませんか。」 そんなキャッチコピーが、訴えることの雄大さとは不釣り合いに小さく 書かれている。開いてみれば片面印刷で文字は大きく、イラストが多いので 数分で読めた。
簡単にまとめると、10年程先にたくさんの隕石が地球に落ちてくる。 それを阻止するプロジェクトに参加して欲しい。 どういう形での参加かというと、遙かな宇宙のある場所に暮らし、 そこに備えられた装置で隕石を破壊する任務に就く、という。 今の私はこのまま生活を続け、わたしのコピーがロボットの体で永遠に 働き続ける。
荒唐無稽を通り越し狂気さへ感じる。 けれど私自身が、人類を滅ぼしたいという狂気に取り付かれていた時だった。 放り出しもせず先を読む事を見透かして送ってきたに違いない。
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