なんであんなもの書いてしまったのだろう、と後悔した。 書いてよかった、と満足した。 後悔と満足と比べたら、満足の方が大きい。だから結局、良かった、と思うことにしよう。
Kさんはどう思ったかな。 ほんの少しでも、ツメの先程でもいいから、嬉しいと思ってくれないかな。 そもそも読んでもらえたのか分からないけれど。
Kさん、Kさん。 Kさん。 何度でも呼びたくなる。答えてはもらえないけれど。
ねえ、Kさん。 あの手紙ね、わたしの、はじめてのラブレター、だったりするんですよ。
迷惑でしょう。 大事な家族がいるのに、喫茶店のおねえちゃんなんか、ね。
困らせてごめんなさい。 変な手紙書いてごめんなさい。 かなわないと分かっているから、せめて気持ちを伝えたかったのです。
手紙に書いた通りなるべく遠くに引っ越すつもりでいたけれど、なじみのない土地の仕事を探すっていうのは想像以上に難しくって、結局電車で二駅分離れるのがやっとでした。
でも、新生活はじめました。図書館もCDショップも近くにありません。新しい職場は、弁当屋です。男子校の目の前にあって、お客は元気でうるさい学生ばかりです。
さようなら、Kさん。 もう会うことはないのでしょうね。
でもまた会いたい。会えるかな。会いたいな。今すぐに会いたいな。
わたしバカみたい。 とりあえず自分で自分のことを笑ってみます。
あはははは、あはははは。
涙腺も一緒に開いてしまいました。 ますますバカみたい。
さようなら、Kさん。さようなら。
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