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作品名:あいつが大きらい 作者:rabi

最終回   2
        いつものようにお母さんとあいつのダンスが始まった時、
       ぼくのお気に入りのクマさんの靴下が片方無くなった。
       お母さんに聞いたけど知らん顔。
       ぼくは怒って、おもちゃの車を、あいつに思いっきりぶつけた。
       「ゴンッ」と大きな音がした。
       するとブー、プス、プス。
       「あら、壊れちゃったかな」
       お母さんはあいつの長い鼻をカチャカチャ。
       「あっくん。車なんか投げちゃだめでしょ」
       あいつは何も言わなくなった。
       ぼくは怖くて大声で泣き出した。
       「ごめんなさい。ごめんなさい」
       「もう、泣かないの。大丈夫よ。電気屋さんに見てもらうから」
       ぼくはあいつに駆け寄りツルツルの丸っこい体をナデナデした。
       「ごめんね。ごめんね。意地悪して」
       次の日、電気屋さんが来てくれた。
       いつもお世話になっているおじさんだ。
       おじさんはあいつの長い鼻を引っこ抜き、ガサゴサ。
       「これ、ぼくの靴下だよね?」
       笑いながらクマさん靴下をあいつの鼻から取り出した。
       「あら、いやだ。気がつかなかったわ」
       お母さんは真っ赤になってそう言った。
       おじさんがあいつの鼻をカチャカチャ。
       ブーブーブー。
       元気な音を出した。
       もう、大きらいだなんて言わないよ。


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