三歳のあっくんはあいつが大きらい。 へんな顔をしているし、丸っこいし、やけにすばしっいし。 グルグル回るし、ゴトゴトするし、ブーブーするし。 何より許せないのが大好きなお母さんと毎日楽しそうにしている。 ぼくのお母さんだよ。ぼくだけのお母さんだよ。 気に入らない。気に入らない。大っきらい。 お母さんもお母さんだ。世界で一番あっくんが好きだよって いつも言ってるのに。 お母さんがあいつと遊ぶ時は、ぼくが話かけても知らん顔。 「ねぇ、ねぇ」ってエプロン引っ張っても 「今、忙しいからあっちで遊んでて」って。 そんなにあいつと遊ぶのが好き? そんなにあいつと遊ぶのが楽しい? 気に入らない。気に入らない。大っきらい。 それが、たまにならいいよ。たまにならね。 でも、毎日なんだよ。毎日なんだ。 鳩の時計が十回鳴くと毎日始まるんだ。 お母さんはあいつを部屋に連れてきて、 ブーブーダンスを一緒に踊りだす。 部屋中をあっちへ行ったりこっちへ行ったり。 あいつがブーブーうるさい声を出すから、 お母さんはあいつが泣きやむまで ずっと一緒に踊らなきゃいけないんだ。 ぼくは耳を押さえて 「うるさい、うるさい」大声出した。 「ごめんね。もうちょっとまってね」 あいつの代わりになんでお母さんが謝るの? お母さんは悪くないのに。なんで謝るの? 気に入らない。気に入らない。大っきらい。
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