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作品名:あいつが大きらい 作者:rabi

第1回   1
        三歳のあっくんはあいつが大きらい。
       へんな顔をしているし、丸っこいし、やけにすばしっいし。
       グルグル回るし、ゴトゴトするし、ブーブーするし。
       何より許せないのが大好きなお母さんと毎日楽しそうにしている。
        ぼくのお母さんだよ。ぼくだけのお母さんだよ。
        気に入らない。気に入らない。大っきらい。
       お母さんもお母さんだ。世界で一番あっくんが好きだよって
       いつも言ってるのに。
       お母さんがあいつと遊ぶ時は、ぼくが話かけても知らん顔。
       「ねぇ、ねぇ」ってエプロン引っ張っても
       「今、忙しいからあっちで遊んでて」って。
        そんなにあいつと遊ぶのが好き?
        そんなにあいつと遊ぶのが楽しい?
        気に入らない。気に入らない。大っきらい。
       それが、たまにならいいよ。たまにならね。
       でも、毎日なんだよ。毎日なんだ。 
       鳩の時計が十回鳴くと毎日始まるんだ。
       お母さんはあいつを部屋に連れてきて、 
       ブーブーダンスを一緒に踊りだす。
       部屋中をあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
       あいつがブーブーうるさい声を出すから、 
       お母さんはあいつが泣きやむまで
       ずっと一緒に踊らなきゃいけないんだ。
       ぼくは耳を押さえて
       「うるさい、うるさい」大声出した。
       「ごめんね。もうちょっとまってね」
       あいつの代わりになんでお母さんが謝るの?
       お母さんは悪くないのに。なんで謝るの?
        気に入らない。気に入らない。大っきらい。
       

 


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