スノードームの中の人形。また新しい私が出来上がった。ぼとぼとと落ちてくる雪は本当は薄緑色に光を反射するホログラムで、私は小さな女の子が雪を舞わせようとどんなにドームを振り回してもびくともしないように足を地面に固定させられたプラスチックで出来た人形。 丁寧に想像し、はっきりとイメージを持つと私はベッドから降りて服を着替える。雪の中を歩けば、その冷たさが私の汚れを吸い取って綺麗にしてくれる気がしたから。下着の上にモヘアの飾り編のカーディガンをはおり、淡いデニムのミニスカートをはく。長い髪を梳かして、ペールピンクのグロスを塗る。ふちに金の飾りのついたサングラスをかけて、白いムートンコートのボタンをかければ、私はたちまちスノードームの人形になる。ヒールにラインストーンがちりばめられた華奢なサンダルを部屋に積まれた箱から選び出してミントグリーンの短いソックスの上にはいて雪の中へ出かける。 雪はやはり冷たく私の中を侵していく。私の汚い部分の全てを己の冷たさに置き換えて溶けていく。嫌いな過去も嫌いな今も何も見えなくなって、ただきらきらとした今と未来が私を包み込んでいく。あ、ここだ...ちょうど心のある場所を見つけた。
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