第三場 教室
カンナヅキ、ムツキ、キサラギ、ヤヨイ、登場。
カンナヅキ:ったく、やってられねえ! ムツキ:そうだなあ。 カンナヅキ:どうして今頃終了式の話をされるんだ? まだ第三学年は始まったばかりだぜ。 キサラギ:だから、先生が言っていたじゃない。準備が必要なのよ。 それに、私たちも、今年は忙しくて、時間があまりないのだから。 カンナヅキ:とは言ってもよう。 ムツキ:でも、どうして劇なんだ? カンナヅキ:しかも、たった十五人で! ヤヨイ:十五人もいれば十分じゃない。 キサラギ:最後の思い出よ。精一杯頑張りましょう。 ヤヨイ:そう。終了式の学年別の出し物といえば、この第二百十四校の名物。 地区の長まで見に来るのよ。 カンナヅキ:地区長がなんだよ。 ムツキ:ただ椅子の上でふんぞりかえっているだけの老い耄れ。 キサラギ:もう!そんなにぶつぶつ言うのはやめてよ! 張り切っているこっちの気持ちまで台無しになっちゃうわ。 カンナヅキ:(傍白)俺達の気持ちはどうなる・・。 ムツキ:[キサラギとヤヨイに]他の連中は? ヤヨイ:もうすぐ来るよ。もうすぐあっちの説明会も終わるだろうから。 カンナヅキ:では、ただ待つだけでござんすかあ。 ムツキ:そうでござんすねえ。 キサラギ:・・・・オーガストも、出てくれるかしら。 カンナヅキ:当たり前だ。無理矢理でも連れてくるさ。 ムツキ:あいつには王子様役がぴったりだ。 カンナヅキ:それで、愛しのメイがお姫様役で・・ ヤヨイ:ちょっと! キサラギ:もう何の劇をやるかだって決まっていないじゃない。 ムツキ:仮の話だよ。 ヤヨイ:いいわよ、あいつには木か岩の役でもやらせてやれば。 カンナヅキ:木と岩の出てくるお話か? ヤヨイ:仮の話よ。 キサラギ:オーガストったら、第三学年になってから、一度も学校に来ていないじゃない。 一体何をしているのかしら?早くも留年のピンチらしいわよ。 カンナヅキ:あいつ、エルト区のパン工場で働いているよ。 授業中に居眠りをしているよりは、 金を稼いでいた方がまだマシだとか何とかいって。 ヤヨイ:あいつ、働くことなんかできるの。 ムツキ:いや、パン工場は四件目。 キサラギ:四件目? カンナヅキ:そう。最初の三つの職場は、全部初日で逃げ出す始末。 ヤヨイ:どうしようもないわね。 キサラギ:とにかく、きっと劇には出てくれるわよ。 オーガスト、何だかそういうの好きそうだもの。 カンナヅキ:確かに、あいつは根っからの道化師だ! ムツキ:うん、喜んで参加しそうな気がする。 ヤヨイ:木か岩よ。 カンナヅキ:[キサラギに]メイは、今日は来るのか? キサラギ:いいえ、彼女は今王子様のお城に。 ムツキ:なるほど。
他のクラスメイトがぞろぞろと登場。
キサラギ:あっ、みんな来たみたいだわ!さあ、話し合いを始めましょう!
[第四場へ]
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