20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:『リム』―空想世界からの旅人―に関する記録 2 作者:ハンス

第5回   リム、子ども達に語る
―リム、子ども達に語る―



 やあ、美しい魂たち。君達も私と同じ、こちらの世界に来たばかりで、心は希望と不安で満ち溢れているのだろうと思います。


 世界はどうですか。美しいですか、それとも醜いですか。みなさんの家族は、みなさんに優しくしてくれますか、それとも、意地悪ですか。


 どっちとも言えないでしょう。何故なら、この世界は美しくもあり、醜くもあり、そしてみなさんの家族は、みなさんに優しくもあり、意地悪でもあるでしょうから。


 おわかりですか。ふたつの正反対のものがひとつとなって存在しているのがこの世界なのです。コインに似ていますね。ここに一枚のコインがありますが、表と、裏と、正反対のものがひとつとなって存在しています。どちらか片方だけということはありません。


 ややこしい世界です。嫌になってしまいましたか。でも、あなたがたがこの世界に生まれたのは、あなたがたが自身が望んだことなのです。ええ、そうです。あなたが生まれたいと願ったから、生まれたのです。今は覚えていないかもしれませんが、まあ、いずれ思い出すでしょう。


 みなさんはこの世界にやって来たばかりで、知らないことがたくさんありますね。知らないことがたくさんあるから、わくわくするものが山ほどあるでしょう。そして、同時に、怖いものもたくさんあるでしょう。


 知らないものに対して興味を抱くのは、とても大切なことです。興味を抱くというのは、あなた達の道を教えてくれる、大切な道しるべです。絶対に失わないようにしてください。自分のやりたいことを教えてくれる心の声を聴くことができなくなってしまっては、生きていることが全く楽しくなくなってしまいます。
 どんなに馬鹿にされても、自分のやりたいことは胸を張ってやってください。あなたのやりたいことや夢を馬鹿にする人は、自分のやりたいことや夢がわからない、可哀想な人たちですから、耳を貸す必要はありません。
 あなたたちは自由です。大空を羽ばたくことだってできる、見えない大きな翼を持って生まれてきたのです。色々な人がそれを奪おうとするでしょう。それを奪われてしまった可哀想な人たちが、あなたたちにやきもちをやいて、それを奪ってやろうとするでしょう。
 絶対に、あなたの自由を誰かに奪わせてはなりません。これは、あなたがたひとりひとりの物語です。あなたたちは自分で選択し、決断し、感動し、苦労し、喜び、悲しむ権利があります。その自由を、絶対に奪われてはなりません。いいですか。あなたの人生は、あなたのためのものです。


 知らないものに対して恐怖を抱くのは、とても大切なことです。それは、まったく、自然な感情です。怖いという気持ちを持っている人は弱虫ではありません。怖いという気持ちを持つことが、弱虫だと決め付けている人が弱虫なのです。なぜなら、そういう人は、自分が怖がっているという事実を認める勇気がないのですからね。


 怖い時は、怖いと思ってください。本当は、世界には怖がることなんか何一つないのですが、まだ本当のことを知らないあなたたちは、色々な幻に怖がらせられるでしょう。それは、とても自然なことです。大いに怖がってください。
 私の友達に、大人になってからも、お化けや幽霊が怖くて、夜中にひとりでトイレに行くことができないという人がいました。そんな自分が、恥ずかしいとその友だちは言いました。
私は、それに答えて言ってあげました。どうして、恥ずかしがる必要があるんだい。君はお化けや幽霊のことについて、何も知らないのだから、それを怖がるのは当たり前のことだ。馬鹿にされるのが恥ずかしいのかい。それは間違っているよ。人を馬鹿にすることの方が、よっぽど恥ずかしいことだよ。ひどいことに、人を馬鹿にする人というのは、そのことに気がつかないし、認めようともしない。恥ずかしいと思っていないことが、一番恥ずかしいことなんだよ。君は、何も恥ずかしがる必要なんかないんだ。
 お化けや幽霊のことなら、僕が教えてあげるよ。それは全く怖いものでも、恐ろしいものでもないのだからね。君が、お化けや幽霊が怖いものだと聞かされて育ったから、怖いだけだよ。本当はそんなこと、全くないんだ。


 いいですか、みなさん。自分の気持ちを大切にしてください。自分の自然な気持ちを、ありのままに受け止めてください。嬉しいときは嬉しい、悲しいときは悲しい、楽しいときは楽しい、つまらないときはつまらない、気持ちがいいときは気持ちがいい、苦しいときは苦しい、怖いときは怖い、恥ずかしいときは恥ずかしい。決して、それを自分で否定しないことです。


 本当は怖いのに、俺は怖くない、怖がってなんかない!と言っていると、怖さは倍になります。本当は苦しいのに、私は苦しくない、苦しがってなんかない!と言っていると、苦しさは倍になります。本当は嬉しいのに、私は嬉しがっちゃいけない、私にそんな権利はない、などと言っていると、心は嬉しさを忘れてしまいます。本当は好きなのに、私は好きなんかじゃい、私はそれが大嫌いだ、などと言っていると、心は居場所をなくして、苦しんでしまいます。
 自分の気持ちには、決して嘘をつかないでください。あなたの心は、まず、あなた自身に受け入れてもらいたいと願っています。あなたに否定されて居場所をなくした心は、もう何かを願っても、何かを思っても、あなたに否定されてしまうと思い、何も願わず、何も思わぬようになってしまいます。あなたに何も求めなくなってしまいます。
 例えば、みなさんの中には、犬や猫を飼っている人がいますね。自分の犬や猫を愛し、大切にしていると、彼らはみなさんに心を開いてなついてくれますね。けれども、彼らを大切にしないで、それどころかいじめたりなどしていると、彼らはみなさんに心を開くことも、なつくこともありません。みなさんの心も、みなさんがそれを愛さず、大切にせずにしておくと、段々とみなさんに心を開かなくなってしまいます。


 自分の心を大切にせずに、自分の心に心を閉ざされるようにしまった人が、今この世界には、山ほどいます。そういう人達はどのようにして生きているのでしょう。


 大抵の人は、他人の道徳や、常識や、法律に従って生きるようになってしまいます。彼らは、自由ではありません。道徳や、常識や、法律に自由を奪われてしまった、可哀想な人たちです。
道徳や、常識や、法律は、みなさんの心の自由を許しません。それは、道徳や、常識や、法律を乱してしまうものだからです。だから、心の自由を奪われてしまった大人たちは、今度はみなさんたちから、心の自由を奪おうとします。彼らは、道徳に従うことが大切だと教えます。常識に従うことが重要だと伝えます。法律や規則が絶対だと、教え込みます。そういう人達は、ただ盲目にそれらのものに服従しているだけですから、「何故それらに従わなくてはいけないのですか」とみなさんが尋ねても、ごまかすばかりで、決して答えてはくれません。
 みなさんは、それに負けず、心の自由を奪われないようにしてください。自分の心に従って、生きてください。みなさんの主人は、道徳でも、常識でも、法律でも、規則でもありません。みなさんの心です。
 
 そして、みなさんが自分の心の自由を守り抜き、愛することができるようになったときには、今までみなさんから心の自由を奪い取ろうとしてきた人たちを、決して憎まないように注意して下さい。彼らは、望んでもいないのに、自分の心の自由を奪われてしまった可哀想な人たちなのです。

 自由を得た人は、人に自由を与えるようになります。自分の自由の翼を守りぬくことができた人は、人の自由の翼を癒してあげることができます。みなさんは、そのような人間になってください。自分の心を愛する人になってください。

 笑い、泣き、喜び、悲しみ、愛し、孤独を感じ、楽しみ、苦しみ、生きてください。たくさんのものを愛してください。そして、多くのものに愛されてください。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 18