第二幕>
第一場 野原。
オーガスト、野原に一人で座っている。
オーガスト:ああ、悪魔のような運命よ、何故あなたは昨日、僕をあのように導いた。
僕のせいだとは言わせない! あなたほど僕を理解している者はないのだから。 あなたは僕をあの時あの場所に導けば、 ああなることはわかっていたはず。
にも関わらず、あなたは僕を強引に連れ去った。
これはあなたの意図か。 それとも単なる悪戯か。
君、僕が自分の過失を棚上げして、 あなたをののしっているだけだと思うのか。
恥知らずな悪魔め!
僕を見くびるのか。 僕を、自分の咎を認めることのできない 愚かな人間どもと同じだというのか。
どうか今すぐに示したまえ。 僕に過失があるのなら僕の罪を。 そして僕に過失がないのなら、 苦しむ僕の心に平安を。
学校のチャイムが鳴る。
オーガスト:ああ、退屈な授業が始まる。 教室に戻らなくては。
オーガスト、退場。
第二場 教室。
教室ではすでに授業が始まっている。 オーガスト、登場。
教師:やあ、オーガスト君。久々の登校だね。 そして随分遅れての登場。 オーガスト:ああ・・。 教師:? オーガスト:あなたの授業が退屈でなければ、ちゃんと学校にも来るし、 授業に遅れることもなかったろうに。 教師:なんだと。 オーガスト:落ち着いて!僕なんかに構っていていいのですか。みんな迷惑していますよ。 教師:お前のせいだろう! オーガスト:いや、あなたが僕に構わなければよいのです。 教師:・・・・もういい、席に着きなさい。
オーガスト、席に着く。 となりに座っているキサラギがオーガストに話しかける。
キサラギ:おはよう、オーガスト。昨日、あの後どうだった? オーガスト:何が。 キサラギ:とぼけないでよ。メイとたくさんお話したの? オーガスト:もちろん。話し過ぎて声帯が無くなった。 キサラギ:わあ!仲良くなれたのね。よかった。どんなこと話したの? オーガスト:歴史の中に時々起こる、宗教的な変態心理的現象について。 キサラギ:はい? オーガスト:君は愛しい人との愛の語らいを、いちいち人に報告するのか。 キサラギ:愛の語らい!・・・うふふ、そうよね、ごめんなさい。 オーガスト:いつか君にも語ってあげる。 教師:[オーガストとキサラギに]そこのふたり。静かにしなさい。 オーガスト&キサラギ:はい。 教師:・・・そういう訳で、この絵画コンクールに興味のある人は、 後でうしろにポスターを貼っておくので見ておくように。 オーガスト:[立ち上がって]絵画コンクール! キサラギ:わあ。 教師:・・・どうしたオーガスト君。 オーガスト:いや、その・・・[教師の持っているポスターを見て]反戦絵画コンクール? 教師:そう。興味があるのかね。 オーガスト:まさか。興味なんてありません。 教師:じゃあ、今の反応はなんだ。 オーガスト:・・いえ、気にしないで下さい。 教師:訳がわからんな。
オーガスト、席に着く。
キサラギ:何なのよ、一体。 オーガスト:いや、意味もなく過剰に反応してしまった。 キサラギ:あなた変よ。 オーガスト:ごめん。
授業は進行する。
オーガスト:・・・コンクールか・・・。
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