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作品名:オーガストとメイ 作者:ハンス

第4回   第二幕  第一場〜第二場
第二幕>

 第一場 野原。

 オーガスト、野原に一人で座っている。

オーガスト:ああ、悪魔のような運命よ、何故あなたは昨日、僕をあのように導いた。

      僕のせいだとは言わせない!
      あなたほど僕を理解している者はないのだから。
      
      あなたは僕をあの時あの場所に導けば、
      ああなることはわかっていたはず。

      にも関わらず、あなたは僕を強引に連れ去った。

      これはあなたの意図か。
      それとも単なる悪戯か。

      君、僕が自分の過失を棚上げして、
      あなたをののしっているだけだと思うのか。

      恥知らずな悪魔め!

      僕を見くびるのか。 
      僕を、自分の咎を認めることのできない
      愚かな人間どもと同じだというのか。

      どうか今すぐに示したまえ。
      僕に過失があるのなら僕の罪を。
      
      そして僕に過失がないのなら、
      苦しむ僕の心に平安を。

 学校のチャイムが鳴る。

オーガスト:ああ、退屈な授業が始まる。
      教室に戻らなくては。

 オーガスト、退場。




第二場 教室。

 教室ではすでに授業が始まっている。
 オーガスト、登場。

教師:やあ、オーガスト君。久々の登校だね。
   そして随分遅れての登場。
オーガスト:ああ・・。
教師:?
オーガスト:あなたの授業が退屈でなければ、ちゃんと学校にも来るし、
      授業に遅れることもなかったろうに。
教師:なんだと。
オーガスト:落ち着いて!僕なんかに構っていていいのですか。みんな迷惑していますよ。
教師:お前のせいだろう!
オーガスト:いや、あなたが僕に構わなければよいのです。
教師:・・・・もういい、席に着きなさい。

 オーガスト、席に着く。
 となりに座っているキサラギがオーガストに話しかける。

キサラギ:おはよう、オーガスト。昨日、あの後どうだった?
オーガスト:何が。
キサラギ:とぼけないでよ。メイとたくさんお話したの?
オーガスト:もちろん。話し過ぎて声帯が無くなった。
キサラギ:わあ!仲良くなれたのね。よかった。どんなこと話したの?
オーガスト:歴史の中に時々起こる、宗教的な変態心理的現象について。
キサラギ:はい?
オーガスト:君は愛しい人との愛の語らいを、いちいち人に報告するのか。
キサラギ:愛の語らい!・・・うふふ、そうよね、ごめんなさい。
オーガスト:いつか君にも語ってあげる。
教師:[オーガストとキサラギに]そこのふたり。静かにしなさい。
オーガスト&キサラギ:はい。
教師:・・・そういう訳で、この絵画コンクールに興味のある人は、
   後でうしろにポスターを貼っておくので見ておくように。
オーガスト:[立ち上がって]絵画コンクール!
キサラギ:わあ。
教師:・・・どうしたオーガスト君。
オーガスト:いや、その・・・[教師の持っているポスターを見て]反戦絵画コンクール?
教師:そう。興味があるのかね。
オーガスト:まさか。興味なんてありません。
教師:じゃあ、今の反応はなんだ。
オーガスト:・・いえ、気にしないで下さい。
教師:訳がわからんな。

 オーガスト、席に着く。

キサラギ:何なのよ、一体。
オーガスト:いや、意味もなく過剰に反応してしまった。
キサラギ:あなた変よ。
オーガスト:ごめん。

 授業は進行する。

オーガスト:・・・コンクールか・・・。


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