第四場 屋上。
オーガスト、登場。
オーガスト:悔やむことなんかないさ。 ましてや恥ずかしがる必要など全くない!
僕が常に恐れているのは、 不幸や、悲しい目に遭うことではない。 それを避けるために自分自身を裏切ってしまうことだ。
僕は、自分を曲げなかったよ。
だけど、ご覧、僕のこの手を。 僕のまわりを。 賞賛も、尊敬も、何もない。 あるのは、空のかじかんだ両手と、冷ややかな視線と、嘲りだけ。
己に勝つという偉大な勝利は、 なんと静かなものなのだろう。
僕よ、挫けるな! 涙なんか流すのはよしたまえ!
喜びを分かち合える友がいないのなら、 悲しみを分かち合える仲間がいないのなら、 いっそ眠ってしまった方が良い。 ひとりで夢を見ていた方が良い。
・・・帰ろう。
こんな世界には、 もううんざりだ・・。 オーガスト、退場。
[第一章おわり]
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