第五幕
第一場 朝の教室。
(メイが退院してから、二ヶ月が過ぎた。 あと数日で全ての授業が終了して学校は長期休暇に入るため、 生徒達の気分は高揚している。 オーガストは相変わらず学校にはあまり顔を出しておらず、 メイとは、病室での突然の告白から、ほとんど会話を交わしていなかった)。
ムツキ、カンナヅキ、キサラギ、ヤヨイ、メイが集まって話している。
キサラギ:何やら ヤヨイ:話しているわけなのよね。
オーガスト、登場。
ムツキ:おや! カンナヅキ:王子様じゃねえか! オーガスト:誰が・・ ヤヨイ:王子様よ! メイ:あら、 キサラギ:意気投合ね! ヤヨイ:やめてよ!
オーガスト、自分の席につく。 メイとヤヨイを除いて駆け寄る。
ヤヨイ:まだこの星にいたの?あの宇宙人! メイ:・・・・・。
ムツキ:オーガストさん、一体何をしていたんだい。 みんな心配してたんだぜ。 カンナヅキ:そうそう。特にヤヨイとか。 ヤヨイ:ちょっと! ムツキ:[カンナヅキに]やめとけよ! カンナヅキ:いや、ついね! キサラギ:オーガスト、もうすぐ二年生終わっちゃうのよ。 最後くらいは、ちゃんと学校に来て頂戴。 残り少ない時間を大切にして。 カンナヅキ:いいじゃねえか、来年もまた一緒なんだし。 キサラギ:そうだけど・・。 ムツキ:でもキサラギの気持ちもわかるよ。 来年は一緒でも、二年生という時間はもう終わっちゃうんだからな! キサラギ:そうそう! カンナヅキ:おい、オーガストの旦那、聞いてるのかい。 オーガスト:・・・まったく・・ 君らという人間達には・・
オーガスト、立ち上がる。
オーガスト:つくづく疲れされられる・・。 ムツキ:おい!どこへ行くんだよ。
オーガスト、退場。
キサラギ:まあ。 カンナヅキ:何なんだ?あいつ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第二場 校内の廊下。
オーガスト、登場。
オーガスト:今日はコンクールの結果発表・・。
ああ、僕は来てしまった。 つくづく信念の弱い男だ。
僕は結果や効果などにはこだわらない男・・・ になったはずだった!
しかしご覧よ、この滑稽な様を。 結局それらに対する執着を捨てることができないでいるんだ。
自分が認められたいという、 愚かな欲求のために!
だけど、神様、よく考えてみたらあなたも厳しすぎる。 これが愚かな欲求?
快楽に目がくらむような下等な欲求と、 自分を認められたいという、ほんの些細な欲求が、 同じ質のものであるとあなたは言うのか。
この偽善者め!
あなたは何故こんなに僕を苦しめる・・。
前方から、クアトロと、彼の仲間達が登場。
オーガスト:や・・・待て。 僕を苦しめるのは、あなたか・・・? クアトロの仲間A:[オーガストに気がついて]何やらぶつぶつ言っているぜ。 オーガスト:それとも・・。 クアトロの仲間B:お兄さん、起きていらっしゃいますか。 オーガスト:僕自身・・? クアトロ:[仲間に]放っとけよ。 早く行こうぜ。 オーガスト:[クアトロに気がついて]あ、クアトロ。
通り過ぎたクアトロたち、振り返る。
クアトロ:何、君。 オーガスト:あ、いや・・・ クアトロ:何だよ。 オーガスト:別に。 仲間A:いきなり呼び捨てかよ。 オーガスト:ああ、その・・ 仲間B:あん? オーガスト:もう行っていいですか。 クアトロ:・・・・。 仲間A:・・・・。 仲間B:何だてめえ。 クアトロ:[仲間Bに]おい、いいよ。 [オーガストを見て]・・変な奴。 行こうぜ。
クアトロたち退場。
オーガスト:[去っていくクアトロを見つめながら]彼がクアトロ・・。
どうなることやらね・・・。 オーガスト、退場。
[第三場へ]
|
|