20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:オーガストとメイ 作者:ハンス

第16回   16
第五幕

 第一場  朝の教室。

      (メイが退院してから、二ヶ月が過ぎた。
      あと数日で全ての授業が終了して学校は長期休暇に入るため、
      生徒達の気分は高揚している。
      オーガストは相変わらず学校にはあまり顔を出しておらず、
      メイとは、病室での突然の告白から、ほとんど会話を交わしていなかった)。


 ムツキ、カンナヅキ、キサラギ、ヤヨイ、メイが集まって話している。


キサラギ:何やら
ヤヨイ:話しているわけなのよね。


 オーガスト、登場。


ムツキ:おや!
カンナヅキ:王子様じゃねえか!
オーガスト:誰が・・
ヤヨイ:王子様よ!
メイ:あら、
キサラギ:意気投合ね!
ヤヨイ:やめてよ!


 オーガスト、自分の席につく。
 メイとヤヨイを除いて駆け寄る。


ヤヨイ:まだこの星にいたの?あの宇宙人!
メイ:・・・・・。

ムツキ:オーガストさん、一体何をしていたんだい。
    みんな心配してたんだぜ。
カンナヅキ:そうそう。特にヤヨイとか。
ヤヨイ:ちょっと!
ムツキ:[カンナヅキに]やめとけよ!
カンナヅキ:いや、ついね!
キサラギ:オーガスト、もうすぐ二年生終わっちゃうのよ。
     最後くらいは、ちゃんと学校に来て頂戴。
     残り少ない時間を大切にして。
カンナヅキ:いいじゃねえか、来年もまた一緒なんだし。
キサラギ:そうだけど・・。
ムツキ:でもキサラギの気持ちもわかるよ。
    来年は一緒でも、二年生という時間はもう終わっちゃうんだからな!
キサラギ:そうそう!
カンナヅキ:おい、オーガストの旦那、聞いてるのかい。
オーガスト:・・・まったく・・
      君らという人間達には・・


 オーガスト、立ち上がる。


オーガスト:つくづく疲れされられる・・。
ムツキ:おい!どこへ行くんだよ。


 オーガスト、退場。


キサラギ:まあ。
カンナヅキ:何なんだ?あいつ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



第二場  校内の廊下。


 オーガスト、登場。


オーガスト:今日はコンクールの結果発表・・。

      ああ、僕は来てしまった。
      つくづく信念の弱い男だ。

      僕は結果や効果などにはこだわらない男・・・
      になったはずだった!

      しかしご覧よ、この滑稽な様を。
      結局それらに対する執着を捨てることができないでいるんだ。

      自分が認められたいという、
      愚かな欲求のために!

      だけど、神様、よく考えてみたらあなたも厳しすぎる。
      
      これが愚かな欲求?

      快楽に目がくらむような下等な欲求と、
      自分を認められたいという、ほんの些細な欲求が、
      同じ質のものであるとあなたは言うのか。

      この偽善者め!

      あなたは何故こんなに僕を苦しめる・・。


 前方から、クアトロと、彼の仲間達が登場。


オーガスト:や・・・待て。
      僕を苦しめるのは、あなたか・・・?
クアトロの仲間A:[オーガストに気がついて]何やらぶつぶつ言っているぜ。
オーガスト:それとも・・。
クアトロの仲間B:お兄さん、起きていらっしゃいますか。
オーガスト:僕自身・・?
クアトロ:[仲間に]放っとけよ。
     早く行こうぜ。
オーガスト:[クアトロに気がついて]あ、クアトロ。


 通り過ぎたクアトロたち、振り返る。
 

クアトロ:何、君。
オーガスト:あ、いや・・・
クアトロ:何だよ。
オーガスト:別に。
仲間A:いきなり呼び捨てかよ。
オーガスト:ああ、その・・
仲間B:あん?
オーガスト:もう行っていいですか。
クアトロ:・・・・。
仲間A:・・・・。
仲間B:何だてめえ。
クアトロ:[仲間Bに]おい、いいよ。
     [オーガストを見て]・・変な奴。
     行こうぜ。


 クアトロたち退場。


オーガスト:[去っていくクアトロを見つめながら]彼がクアトロ・・。
      

      どうなることやらね・・・。
 
 オーガスト、退場。


[第三場へ]


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 1273