第五場 メイの病室。
今日は、メイが退院する日である。 荷物を抱えたメイ、メイの母親、年寄りの医師が立っている。
年老いた医師:もう一週間になります。早いもんです。 再びひどい発作が起こるようになったら、またいらしてください。 メイの母親:ありがとうございます、先生。 最後にひとつお尋ねしたいのですが、 薬は毎晩飲ませてやった方がいいのでしょうか。 年老いた医師:そうですねえ。あんなに不味い薬で大変だろうが、ここしばらくは、 飲んでおいた方がいいでしょう。 メイの母親:わかりました。 年老いた医師:[メイに]メイ君、ご苦労だったね。 退院する患者に向かって言うことじゃないが、何だか寂しいよ。 メイ:私もよ、先生。 年老いた医師:医者として言うと、もう二度と君には来て欲しくない。 君の友だちとして言うと、これからもまた何度でも来て欲しい。 メイ:また来るわよ。先生はお医者さんである前に、私の友達だって言っていたじゃない。 年老いた医師:そうだったか。 メイ:先生、ありがとう。また来るかもしれないけど、そのときはよろしく。 年老いた医師:いつでもいらっしゃい。君の助けになることが私の喜びだ。 君がずっと小さな時からね。 メイ:大好きよ、先生。 メイの母親:[メイに]それじゃ、行こうか。 メイ:ええ。 メイの母親:[年老いた医師に]それじゃ、先生、今回もまたどうもお世話になりました。 年老いた医師:いえいえ、奥さん。 何もないのが一番ですが、何かありましたらまたいらしてください。 メイの母親:ありがとうございます。[メイに]ほら、ちゃんとお別れして。 メイ:さようなら、先生。 年老いた医師:はい、さようなら。健康を祈っているよ。 メイ:先生にも。それじゃ。 年老いた医師:それじゃあね。
メイとメイの母親、退場。
年老いた医師:愛しい人の旅立ちは、喜ばしくも、寂しいものさ。 ・・・さて、仕事仕事。
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