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作品名:オーガストとメイ 作者:ハンス

第12回   第三幕  第五場
第五場 メイの病室。


 今日は、メイが退院する日である。
 荷物を抱えたメイ、メイの母親、年寄りの医師が立っている。


年老いた医師:もう一週間になります。早いもんです。
       再びひどい発作が起こるようになったら、またいらしてください。
メイの母親:ありがとうございます、先生。
      最後にひとつお尋ねしたいのですが、
      薬は毎晩飲ませてやった方がいいのでしょうか。
年老いた医師:そうですねえ。あんなに不味い薬で大変だろうが、ここしばらくは、
       飲んでおいた方がいいでしょう。
メイの母親:わかりました。
年老いた医師:[メイに]メイ君、ご苦労だったね。
       退院する患者に向かって言うことじゃないが、何だか寂しいよ。
メイ:私もよ、先生。
年老いた医師:医者として言うと、もう二度と君には来て欲しくない。
       君の友だちとして言うと、これからもまた何度でも来て欲しい。
メイ:また来るわよ。先生はお医者さんである前に、私の友達だって言っていたじゃない。
年老いた医師:そうだったか。
メイ:先生、ありがとう。また来るかもしれないけど、そのときはよろしく。
年老いた医師:いつでもいらっしゃい。君の助けになることが私の喜びだ。
       君がずっと小さな時からね。
メイ:大好きよ、先生。
メイの母親:[メイに]それじゃ、行こうか。
メイ:ええ。
メイの母親:[年老いた医師に]それじゃ、先生、今回もまたどうもお世話になりました。
年老いた医師:いえいえ、奥さん。
       何もないのが一番ですが、何かありましたらまたいらしてください。
メイの母親:ありがとうございます。[メイに]ほら、ちゃんとお別れして。
メイ:さようなら、先生。
年老いた医師:はい、さようなら。健康を祈っているよ。
メイ:先生にも。それじゃ。
年老いた医師:それじゃあね。


 メイとメイの母親、退場。


年老いた医師:愛しい人の旅立ちは、喜ばしくも、寂しいものさ。
       ・・・さて、仕事仕事。


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