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作品名:オーガストとメイ 作者:ハンス

第11回   第三幕  第四場
第四場 クアトロのアトリエ。


 クアトロ、キャンバスに向かい、真剣に絵を描いている。


クアトロ:今年のテーマは反戦画・・。
     みろ、この恐ろしい絵を!
     いかに恐ろしい絵を描くか、
     これこそが今年のコンクールで入賞する最大のポイントだ。


 クアトロの姉ノーヴェ登場。


ノーヴェ:ただいま。
クアトロ:ああ、お帰り。   
ノーヴェ:何よその絵。気持ち悪いわね。
クアトロ:恐ろしい戦争の惨劇を描いているのさ。
     そんなことより仕事は?今日は休みじゃないだろ。
ノーヴェ:やめるわよ。店長がまた八つ当たりしてきてね。
     嫌になっちゃった。
クアトロ:またクビか。
ノーヴェ:クビって言い方はおかしいわねえ。
     あたしが自分からやめるんだから。
クアトロ:お姉ちゃん、そんなことじゃやっていけないよ。
     いつまでそうしてぶらぶら暮らしているつもりなんだい。
ノーヴェ:さあねえ。
クアトロ:世の中そう甘くはないよ。
ノーヴェ:説教しないでよ。
クアトロ:これからどうするの。
     お父さんとお母さんに迷惑をかけながら生きていくの。
ノーヴェ:嫌ねえ、久しぶりに会えたと思ったらこれだもの。
クアトロ:ふざけるなよ!
ノーヴェ:いいわよ、もう。
     それじゃ、頑張ってね。


ノーヴェ、退場。


クアトロ:ったく。なんて姉だい。
     
     俺は絶対あんなふうにはならないぞ。
     
     このコンクールで金賞を獲って、あのメイモーン美術学校へ入学するんだ。

     そして有名な先生について、自分の腕を磨いて、
     必ず画家として成功してやる。

     成功するためだったら何だってしてやるぞ。
     俺は世界一の画家になってやる!
     
     お父さんとお母さんに楽をさせてやるためにも、
     そして・・・
     あの美しいメイのためにも。

     ・・・頑張るぞ。
     俺はやってやる!


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