第四場 クアトロのアトリエ。
クアトロ、キャンバスに向かい、真剣に絵を描いている。
クアトロ:今年のテーマは反戦画・・。 みろ、この恐ろしい絵を! いかに恐ろしい絵を描くか、 これこそが今年のコンクールで入賞する最大のポイントだ。
クアトロの姉ノーヴェ登場。
ノーヴェ:ただいま。 クアトロ:ああ、お帰り。 ノーヴェ:何よその絵。気持ち悪いわね。 クアトロ:恐ろしい戦争の惨劇を描いているのさ。 そんなことより仕事は?今日は休みじゃないだろ。 ノーヴェ:やめるわよ。店長がまた八つ当たりしてきてね。 嫌になっちゃった。 クアトロ:またクビか。 ノーヴェ:クビって言い方はおかしいわねえ。 あたしが自分からやめるんだから。 クアトロ:お姉ちゃん、そんなことじゃやっていけないよ。 いつまでそうしてぶらぶら暮らしているつもりなんだい。 ノーヴェ:さあねえ。 クアトロ:世の中そう甘くはないよ。 ノーヴェ:説教しないでよ。 クアトロ:これからどうするの。 お父さんとお母さんに迷惑をかけながら生きていくの。 ノーヴェ:嫌ねえ、久しぶりに会えたと思ったらこれだもの。 クアトロ:ふざけるなよ! ノーヴェ:いいわよ、もう。 それじゃ、頑張ってね。
ノーヴェ、退場。
クアトロ:ったく。なんて姉だい。 俺は絶対あんなふうにはならないぞ。 このコンクールで金賞を獲って、あのメイモーン美術学校へ入学するんだ。
そして有名な先生について、自分の腕を磨いて、 必ず画家として成功してやる。
成功するためだったら何だってしてやるぞ。 俺は世界一の画家になってやる! お父さんとお母さんに楽をさせてやるためにも、 そして・・・ あの美しいメイのためにも。
・・・頑張るぞ。 俺はやってやる!
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