1941年6月ドイツ軍は突如、独ソ不可侵条約を破棄して、ソ連に攻め込んだ。カスピ海沿岸のソ連領バクーの油田を手に入れるためだ。前年の5月、フランスが降伏して、ダンケルクで敗退したイギリスは自国の防衛で手一杯で、ドイツにとって西部戦線は何の問題もなかった。ヒットラーは政権樹立前からソビエト連邦を崩壊させることを目論んでいた。共産主義とナチスの国家社会主義は相いれないものだった。しかし、ソ連のスターリンはヒットラーにシンパシイを持っていたようだ。ドイツが攻めてきたと聞いてスターリンは呆然自失の状態だったと言う。ヒットラーにして見れば、重要な戦略物資である石油をソ連に握られている事が我慢できなかったのだろう。ヒットラーは大分前からソ連を征服することを考えていたようだ。
ヒットラーにソ連侵攻を決意させたもう一つの要因としてフィンランドに攻め込んだソ連軍がフィンランド軍に翻弄されて負け続けた事だ。それを見てヒットラーはソ連軍を侮ったのだと言われている。ソ連は最終的には数の力でフィンランドをねじ伏せたのだが・・・この時のソ連軍が弱かったのはスターリンによって優秀な将校が大勢粛清され、ソ連軍の士気が落ちていた為と言われている。しかし、このナチスドイツのソ連侵攻が結果的にソ連を第二次世界大戦の戦勝国の立場にしてしまったのは歴史の皮肉と言わざるを得ない。
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