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作品名:K君の結婚 作者:カズロン

第5回   結婚式
6月の終わりの日曜日、結納となった。仲人はS君の両親に遣ってもらう事になった。K君の両親とK君、彼女の母親、姉、妹、がS君を含めて、S君の家で食事をした。結婚式は10月10日に決まった。出会って5ヶ月余りで結婚する事になる訳だ。二人は若い恋人同士が遣るような事はやった。しかし彼女は「結婚式が済むまでは我慢して」と言って最後の一線は越えさせなかった。K君は「K応には許して俺にはおあずけか」と言う言葉が喉まで出掛ったが、その事は触れない約束なので言葉を飲み込んだ。そして彼女には彼女なりのポリシーが有るのだと思い「結婚式までは我慢しよう」とK君は決心した。途中で彼女がマリッジブルーとやらに陥り、「商売屋の嫁を遣る自信が無い」と言い出した事も有ったが、K君が「俺が守るから」と言って、無事10月10日を迎える事が出来た。

結婚式場は彼女が「任せる」と言うので、K君が決めた。K君が結婚式場を案内する団体に電話すると労働組合関係の式場で上野にある「I文化センター」という所の料理が美味いと評判だというので、そこに決めた。両家合わせて、80人ほどの結婚式だった。結婚式にはK君の大学の友人、中学の友人それとスナックPの仲間からSジュンイチとM世ちゃん、Sマモル氏を呼んだ。商売関係からはわずかな人しか呼ばなかったので、問屋関係、組合関係から不評を買った。友人関係が多かったので結構賑やかな結婚式だった。彼女のM越の元同僚も3人ほど来た。

この式場で結婚式を挙げると、サービスでこの式場の経営する宿泊施設に宿泊出来るというので、それを利用した。しかしそれが失敗だった。殺風景な小さな小部屋だった。彼女が「お腹がすいた」と言うので、K君は外に出て食べるものを探したが、開いている店が無く、やっとパン屋を見つけて菓子パンを買ってきた。10時を回っていた。その夜はお互い疲れてしまって、何事も無く寝てしまった。8時にチェックアウトして新婚旅行に出発した。もうその頃、新婚旅行で海外に行く人もチラホラ居たが、K君の家では手狭になった工場を埼玉に移す計画が有ってその建築が始まるところだった。そんな訳でお金がいる時期だったので、新婚旅行を近場で済ませることにした。

D坂に住む伯父の家の近くを通った。その近くのバス停で出勤するPの常連のFさんを見かけた。FさんはK君に「お祝い電報」を打ってくれた。車を止めて「電報有難う御座いました」とドア越しにK君が言うと、「頑張れよ」と言って手を振ってくれた。「行って来ますと」と言ってFさんと別れた。


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