20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:K君の結婚 作者:カズロン

第10回   スナック「P」の閉店
久しぶりにSマモル氏が訪ねて来た。Sマモル氏は「この前、Pのママの古い知り合いがPに来た、ママがとても嫌な顔をして、見ものだった」と言った。Sマモル氏によれば、その知り合いは「(ママのK府時代の客だ)と言った」と言う。「だって、ママはOLを遣っていて、脱サラしてあの店を出したと言ってなかった」とK君が言うと、「そうではないらしいよ、何の仕事か分からないけど」とSマモル氏は意味深な言い方をした。

その話を聞いて、K君はママがあの美容院の彼女を嫌った理由が分かったような気がした。ママは彼女の中に自分を見たのでは無いだろうか・・・人は自分に似た人を見ると親近感を持つ場合と嫌悪感を持つ場合があると、何かの本で読んだ気がする。ママの場合、彼女に対して後者の感情を持ったに違いないとK君は思った。もうどうでも良い事だけれど・・・いま自分が娘を持ってみて、彼女の父親の気持ちはどうだったのだろうと思ったとき、K君は、むかし、あれほど尊敬していた目の前に居るSマモル氏がとても悪い人のように思えて来た。その人物の出現が原因かどうか分からないが、その年、ママは「P」を閉めた。


終わり。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 3533