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作品名:ベージュのコート 作者:カズロン

最終回   エピローグ
二ヶ月ぐらいしてから娘さんからメールが入りました。以下がそのメールです。

昨日母が父のもとへ旅立ちました。母は癌を患い余命3ヶ月と言われていました。40年前K様に伝えたかった「思いの丈」をやっと伝えることが出来て、とても安らかな死に顔でした。母と、K様どちらが悪いとか言うことではなく、二人が若かったと言うことでしょう。お互いにもう少し意地を抑えればうまく行ったのではないかと思います。でもその御蔭で私が生まれる事が出来たのですけれど・・・。

母は、誕生日にK様に貰ったと言うカメオのブローチを大切にしていました。母にとってK様との事は「初恋」だったのだと思います。それゆえそのブローチを捨てることが出来なかったのだと思います。K様にお伝えください、父が「焼餅」を焼くかも知れませんが、「カメオのブローチ母に持たせました」と。

カズロン様とK様のご健勝をお祈りいたします。

K君はこのメールを見て、「あの安物のブローチを・・・」と絶句し、「僕が悪かったのだ」、なぜあの時、あの同僚に「彼女どうしていますか?」と素直に言えなかったのだろう。「僕はすねて親から隠れたら本当に迷子になってしまった子供のようだ」、「それで彼女を苦しめ、傷つけた」と言って涙ぐむのでした。

終わり


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