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作品名:ほろ苦く、甘く。 作者:なりた十緒子

第9回   9
「や〜、今朝はてっちゃんが世話んなったな!」
やけに晴れ晴れとした顔で牧瀬くんが話しかけてくる。
”てっちゃん”を世話した覚えはない・・・。が、二人の状態に驚いた由季は聞いた。
「どうしたの・・・?」
「少し、暴れてきた」
内山くんが簡潔に、口の端を楽しそうにあげて答えた。
今朝は少し爽やかな様子だったのに、今は、違う。
・・・悪い!
なんかこの二人から悪いオーラが出ている・・・!
気付けば、さっきまで騒いでいた小野田さんも大人しい。
「あー、これ」
牧瀬くんがポケットの中から何かを握り、目の前にグーを出してきた。由季の手が思わず伸びる。
コロン、と手の平に落ちたのは飴玉だった。
「・・・・・・」
「やる」
にひっと笑った牧瀬くんは、腹減ったー!と声をあげながら、内山くんと食堂に入って行った。
「あの二人と・・・知り合い?」
「え?」
ぼーっとしていた由季に小野田さんが声をかけた。
「あの二人、中学んとき結構荒れてたらしくて、ヤバいらしーよぉ」
「そうなんだ・・・」
その話に納得しつつも、手の平の飴玉を握りしめる。
少し、だけ、いい人なのかな・・・。
由季はぼんやりとそんなことを思った。


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