「や〜、今朝はてっちゃんが世話んなったな!」 やけに晴れ晴れとした顔で牧瀬くんが話しかけてくる。 ”てっちゃん”を世話した覚えはない・・・。が、二人の状態に驚いた由季は聞いた。 「どうしたの・・・?」 「少し、暴れてきた」 内山くんが簡潔に、口の端を楽しそうにあげて答えた。 今朝は少し爽やかな様子だったのに、今は、違う。 ・・・悪い! なんかこの二人から悪いオーラが出ている・・・! 気付けば、さっきまで騒いでいた小野田さんも大人しい。 「あー、これ」 牧瀬くんがポケットの中から何かを握り、目の前にグーを出してきた。由季の手が思わず伸びる。 コロン、と手の平に落ちたのは飴玉だった。 「・・・・・・」 「やる」 にひっと笑った牧瀬くんは、腹減ったー!と声をあげながら、内山くんと食堂に入って行った。 「あの二人と・・・知り合い?」 「え?」 ぼーっとしていた由季に小野田さんが声をかけた。 「あの二人、中学んとき結構荒れてたらしくて、ヤバいらしーよぉ」 「そうなんだ・・・」 その話に納得しつつも、手の平の飴玉を握りしめる。 少し、だけ、いい人なのかな・・・。 由季はぼんやりとそんなことを思った。
|
|