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作品名:ほろ苦く、甘く。 作者:なりた十緒子

第7回   7
整理しなくては。言葉の意味を整理しなくては!
そればかり考えていたら、いきなり黒峰先輩にデコピンされた。
「いっ・・・たぁ!」
「だいじょーぶ?」
自分からデコピンしといて!?
「いいえ、まったく」
「はあ・・・」
ため息つきたいのはわたしだ。
「なんでデコピンするんですかっ」
「え、何か混乱してる感じだったから落ち着いて貰おうと思って」
・・・違う方法で落ち着かせてほしい・・・。
「ところでさあ、里見さんの入部届、もう提出されたんだよね」
「ええっ?」
「新井が書いて出してた」
「なっ・・・!そ、そんなのあり得ませんっ!詐欺です、犯罪ですっ」
にぎり拳をつくって猛抗議を行ったが、目の前の人物は至って冷静に言った。
「・・・もう、仕方ないかなって思う」
このクールな人物に、由季の熱は伝わらなかったらしい。
「じゃあ、またね」
黒峰先輩は爽やかに笑い、校門へと向かっていった。
一人泣く由季は、その場に立ちすくみながら、この高校に入学したことを少し後悔した。


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