整理しなくては。言葉の意味を整理しなくては! そればかり考えていたら、いきなり黒峰先輩にデコピンされた。 「いっ・・・たぁ!」 「だいじょーぶ?」 自分からデコピンしといて!? 「いいえ、まったく」 「はあ・・・」 ため息つきたいのはわたしだ。 「なんでデコピンするんですかっ」 「え、何か混乱してる感じだったから落ち着いて貰おうと思って」 ・・・違う方法で落ち着かせてほしい・・・。 「ところでさあ、里見さんの入部届、もう提出されたんだよね」 「ええっ?」 「新井が書いて出してた」 「なっ・・・!そ、そんなのあり得ませんっ!詐欺です、犯罪ですっ」 にぎり拳をつくって猛抗議を行ったが、目の前の人物は至って冷静に言った。 「・・・もう、仕方ないかなって思う」 このクールな人物に、由季の熱は伝わらなかったらしい。 「じゃあ、またね」 黒峰先輩は爽やかに笑い、校門へと向かっていった。 一人泣く由季は、その場に立ちすくみながら、この高校に入学したことを少し後悔した。
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