茶道って・・・お茶を嗜み、茶碗や掛け軸・花などを愛でて。和やかに話す憩いの場だったよね・・・? 由季は騒がしい部室に静かに正座し、傍観していた。隣には黒峰先輩も黙って座っている。 「ちょーーっと待て!待て!とにかく鞄離せって」 牧瀬くんが不機嫌そうに言う。 「言っておくけど!今日は部活出て貰うからねっ」 「あのねー・・・あっと・・・センパイ」 あ、辻先輩の名前忘れてる、由季は心の中で呟いた。 「俺は忙しいの!用事があるんだって〜」 「今日くらい出てって言ってるの。月に二回、お茶を教えてくれる先生が来るんだから、挨拶しなさいよ」 「そうだよ〜。せっかく入部して最初の活動日なのに〜」 新井先輩が加勢する。 「じゃあ、また今度ってことで」 取り合う気もなく、牧瀬くんと内山くんは部室を出ようとする。 「5月のゴールデンウィークに!」 辻先輩は声を張り上げた。 「三校合同茶会があるのよ・・・」 「・・・はあ・・・?」 「三条高校と美ノ森東高校・・・あんたたち、この二校は知ってる?」 「何なんだよ・・・」 意味が分からず面倒くさそうに聞き返す。 「三条高校・・・この辺りじゃけっこう偏差値の高い公立の進学校なのよ。インテリ美人が多いらしいわ・・・。もちろん!茶道部にもそんな女子がいるはず・・・」 ごくり。 牧瀬くんたちをはじめ、みんなが話に聞き入っている。 「美ノ森東高校・・・公立高校でありながら、その制服のデザイン、バリエーションに惹かれて入学する可愛い子が多いとか。きっと恋にトキメク女子が茶道部にいるはず・・!」 「ちなみに私たちの西二条高校は運動部が盛んで、体育会系の人が多いみたい〜。あははは」 お気楽に新井先輩がつっこんだ。 「その二校との出会いの場に・・・二人とも行きたいでしょう・・・?」 「くぅっ・・・」 「行く」 内山くん即答。 「悟ーーっ!!」 「うっちゃんてば素直じゃん〜。マッキーも素直になりなよ〜」 「ちょっと待て、何だその呼び名はぁっ」 牧瀬くんが新井先輩を睨みつけた。 「ま、そういう事で。参加するならお茶の飲み方くらい覚えてってね?」 辻先輩が強引にまとめたが、牧瀬くん(・・・マッキー?)は舌打ちしただけで反論してこなかった。
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