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あした晴れたら
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第9回
9
「ただいまー」
扉をあけると同時に、カランカランと鐘の音が響いた。
「ちょっと、いつも裏から入ってって言ってるでしょー」
三十代半ばの母親が口を尖らせて言ってきたが、かおるはお構いなしに奥へと進む。
「客いないの外から見えたし、いいじゃん」
ドカっとスーパーの荷物をイスの上に置いた。
「メールしてきた食材、買っといたよ。1103円した」 「ありがと。お金はあとで払うから」
母は、髪は茶色に染めて小柄な体型だからか年齢より少し若く見られるが、目元などはかおると似ていて、横に並ぶと親子だとわかる。 かおるの家は小さいが美容室を営んでおり、母が店長として働いていた。 父はかおるが幼い頃に病死したが、母の明るく元気な姿を見てきたかおるは、母とこれまで頑張ってこれた。 母はさすが商売人で、彼女の陽気な性格は人に好かれ、常連客などに支えられて今でも店を続けていられる。店が忙しい時はかおるも出来る範囲で手伝っていた。
「今日はいつもより帰りが早かったね」
母のハスキーヴォイスが聞いてきた。
「あー、読みたい本あったから、家で読もうと思って。桂木さんは?」
かおるは店の従業員である桂木さんの姿が見当たらないことに気付いた。 店は母と桂木さんの二人でやっているのだ。
「今休憩よ。なにか買い物に行ったんじゃない」 「そっ」
軽く返事をすると、店の手伝いをさせられる前に家の中へとひきこもった。
「あんた女の子と遊んでばっかいないで勉強にも身入れなさいよ!受験生でしょー!」
母が店のほうから大声で叫んだ。
(別に女子と遊んでばっかじゃないしっ!勉強も(少しは)出来てるしー)
母の言葉は聞き流して、2階にある自分の部屋へとかけあがった。
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