Warning: Unknown: Unable to allocate memory for pool. in Unknown on line 0
Warning: session_start(): Cannot send session cache limiter - headers already sent in /var/www/htmlreviews/author/11138/11181/7.htm on line 4
あした晴れたら
■ 目次へ
第7回
7
教室に行くまでに誰ともすれ違わなかった。 廊下は薄暗く、うつむき加減に歩く久美はなんだか学校に自分一人しかいないような感じがした。 教室前の傘立てには久美の傘しかない。 さっさと帰ろう、傘を持って歩き出そうとした時だった。
「あれー、まだ居たんだ」
顔をあげるとかおるだった。 普通に話しかけられたことに少し戸惑いながら、「うん」と小さい声で答えた。
「あっ傘持ってる」
かおるは久美の持ってる傘を指差した。
「置き傘ないかと思って来たんだけど、ラッキー」
何故か久美の傘で一緒に帰ることになっている。
(調子がいい・・・というか、なんというか・・・)
ほとんど話したこともない女子と一緒に帰ることに抵抗はないのかとも思ったが、かおるはそういう人なのだと思うと、久美は自然と笑みをこぼした。 どちらともなく歩き出す。
「?なんかおかしい??」 「ううん・・・市宮くんていつも元気で・・・楽しそう」 「まあ、それだけが取り柄みたいな感じだしな〜」 「そうだね・・・」 「否定しないんかいっ」
かおるは他の友達としゃべるのと同じような調子で話してくる。
「でもそれって、良いと思う・・・周りまで元気になる」
久美は、いつもかおると周りの友達が楽しそうに話している姿を思い浮かべながら、なるべく素直に話すよう心がけた。
「・・・ほめても、何も出ないよ」
かおるは少し照れたのか、目が宙を泳ぐ。
「そっちは・・・」
かおるは落ち着いた声で話しかけてきた。
「いつも一人だね」
久美はまっすぐ前を見たままだったが、かおるは久美の表情を見守った。
|
|
← 前の回 次の回 → ■ 目次
■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2207