Warning: Unknown: Unable to allocate memory for pool. in Unknown on line 0 Warning: session_start(): Cannot send session cache limiter - headers already sent in /var/www/htmlreviews/author/11138/11181/3.htm on line 4 あした晴れたら
20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:あした晴れたら 作者:なりた十緒子

第3回   3
市橋 馨は、久美と同じクラスでたいていの人は知っている人気者だった。
整った顔立ちをしており、少年っぽさを感じさせる笑顔で女子からも人気があり、休憩時間には男女問わず、必ず誰かに囲まれている。

「はあ・・・」

大きく息を吐き、久美は頭を傾けた。昨日、泣き顔を見られた。
自分とはタイプが正反対のようなかおるを、少し羨ましいとも思うが好きになれない男子だ。

「あ、かおる君おはよー」

クラスの女子たちが騒ぎはじめた。
なんだか彼が登校するだけで騒がしさが増している気がする。
久美は顔を少しあげて、教室の入り口にいるかおるをチラリと見た。すると、彼もこちらを向いたので、視線がぶつかる。
びっくりして久美は再び机につっぷした。
何を慌てることがあるのかと思ったが、久美はしばらく顔をあげれないでいた。


その日の放課後も知代たちは図書室に来なかった。
そのほうが気が楽だと思いつつ、昨日出来なかった箇所を掃除する。

(私もこんな真面目に掃除なんてして・・・損な性分だわ・・・)

自分の性格を嘆く。

「ふう・・・」

水拭きも終わり、上体をあげて一息ついた。
すると、目の前のイスにかおるが座っていた。

「お疲れさま」

ニッコリ笑って声をかけてくる。
掃除に集中していた為、久美は全く気がつかなかった。

「お、驚かさないでよっ」
「別にわざと驚かそうとしたわけじゃないし・・・今日も一人??」
「そうよ、市橋くんは、何か用?」

昨日の泣いている姿を見て慰めにでも来たのか、優しくしてほしくなくて言葉がきつくなる。

「あんま戸山さんと話したことないね」
「そうね、話すこともないし・・・」

彼の言葉から意図が読めない。久美はそっけなく言った。

「昨日のことで何か言いたいの?だったら放っておいて。何でもないことだから」
「そ、わかった」

かおるも興味がなさそうに、さらりと返事をした。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2207