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あした晴れたら
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第3回
3
市橋 馨は、久美と同じクラスでたいていの人は知っている人気者だった。 整った顔立ちをしており、少年っぽさを感じさせる笑顔で女子からも人気があり、休憩時間には男女問わず、必ず誰かに囲まれている。
「はあ・・・」
大きく息を吐き、久美は頭を傾けた。昨日、泣き顔を見られた。 自分とはタイプが正反対のようなかおるを、少し羨ましいとも思うが好きになれない男子だ。
「あ、かおる君おはよー」
クラスの女子たちが騒ぎはじめた。 なんだか彼が登校するだけで騒がしさが増している気がする。 久美は顔を少しあげて、教室の入り口にいるかおるをチラリと見た。すると、彼もこちらを向いたので、視線がぶつかる。 びっくりして久美は再び机につっぷした。 何を慌てることがあるのかと思ったが、久美はしばらく顔をあげれないでいた。
その日の放課後も知代たちは図書室に来なかった。 そのほうが気が楽だと思いつつ、昨日出来なかった箇所を掃除する。
(私もこんな真面目に掃除なんてして・・・損な性分だわ・・・)
自分の性格を嘆く。
「ふう・・・」
水拭きも終わり、上体をあげて一息ついた。 すると、目の前のイスにかおるが座っていた。
「お疲れさま」
ニッコリ笑って声をかけてくる。 掃除に集中していた為、久美は全く気がつかなかった。
「お、驚かさないでよっ」 「別にわざと驚かそうとしたわけじゃないし・・・今日も一人??」 「そうよ、市橋くんは、何か用?」
昨日の泣いている姿を見て慰めにでも来たのか、優しくしてほしくなくて言葉がきつくなる。
「あんま戸山さんと話したことないね」 「そうね、話すこともないし・・・」
彼の言葉から意図が読めない。久美はそっけなく言った。
「昨日のことで何か言いたいの?だったら放っておいて。何でもないことだから」 「そ、わかった」
かおるも興味がなさそうに、さらりと返事をした。
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