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あした晴れたら
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第11回
11
久美も席に着こうとした時、かおるがクラスに入ってきた。 すぐに周りから声をかけられ、クラス内が騒がしくなる。
(市宮くんとなんの関係もないのに。なんで私がこんな嫌な思いしなくちゃならないのよ)
じとーっとかおるを見ていたら目線が合ったので、久美はあわてて顔をそらした。 関わりたくないと思いつつも、かおるは目立つ存在なので何度も視界に入り、目線が合うたび久美はあからさまに顔をそらすのだった。
「こら、何睨んでんだよ」 「いたっ」
ホームルームも終わり、それぞれ帰ろうとしている教室内で、久美はいきなり後頭部にノートを当てられた。声でわかるが、市宮かおるだ。
「何がよ、睨んでないし」 「今日何度も俺のことガン見してただろ!」 「しっ、してない!・・・と思うし。たまたま目が合っただけで・・・」
身におぼえがあるので、完全に否定できない。
「ふーん・・・俺に何か用事?」 「別に・・・何も・・・」
ふと、知代たちを見ると、こちらをじーっと見ている。 知代の目に久美はドキリとした。手の平に汗をかいている気がする。
「・・・近づかないでよ」 「――は?」 「だからっ・・・もう近づかないで」
久美はふりしぼってそう言うと、かおるの顔を見れずに鞄を持って教室を出た。
(今日はもう帰ろう)
掃除もせず、どこかの店に立ち寄って時間を潰すこともせず、今日は早く家に帰った。
(何なのだろう・・・気分が晴れない)
久美は部屋にある小さいテレビをつけてベットに横になっていたが、まともに見ていなかった。
(自分から人を遠ざけてる。せっかく話しかけてくれた市宮くんも)
何をする気にもなれず、夕食後はずっと別途の上でごろごろしている。 考えていると、段々と明日学校に行くのが億劫になってきた。
――ふと、学校のことを考えたとき、明日提出の英語の宿題が出ていたことを思い出した。
(やばい。英語のノートちょうどなくなったとこだ)
重たかった体をすっと起こす。予備のノートなんて持ってない。 近くのコンビニには、学生の通学路ということもあって英語のノートが売ってあった。 が・・・時計を見ると8時半を少し過ぎている。
(まだ外出してもいいかな・・・。近くだし)
なるべく静かに廊下を歩き、玄関から出ようとした時だった。
「どこに行くの?」
背後から聞きたくない声がピリリと響いた。 久美はゆっくりと振り向く。そこには祖母が鋭い眼差しで久美をまっすぐ見つめ、立っていた。
「・・・英語のノートを買いに行きます」 祖母は静かに息を吐いて、肩をおとす。
「女の子がこんな時間に外出なんて、恥ずかしい」 「だけど、明日提出の宿題があって・・・」 「ご近所の人に見られたらどうするんです!?迷惑がかかるのはこっちなのよ!」 「すぐ近くのコンビニですからっ!」
言い捨てると、玄関の扉を開けて家を出た。
(ああ、出来ることならこのまま家に帰らずにいたい)
そんな勇気も、行動力もない自分にガッカリしながら、久美はトボトボとコンビニまで歩いていった。
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