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あした晴れたら
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第1回
1
楽しかったり嬉しかったり、そういう感情に鈍くなってしまった気がする。 心の底から思い切り笑ったのは、いつだっただろう・・・?
ふと目を覚ますと、クラスメイトの話し声が頭に入ってきた。6限目の授業が終わるころ寝てしまって、そのまま終わったようだ。あとはもうホームルームと掃除だけ。 久美は机のうえの教科書とノートを鞄にしまった。 先生が教室に入ってきてホームルームがはじまる。久美は寝起きの頭でボーっとしながら聞いていた。
「戸山さーん」
ホームルームが終わるとクラスメイトの西田知代が話しかけてきた。 色白で髪が長く、目もパッチリしていて、クラス内では可愛い子の部類だ。 久美とは同じ掃除の班だった。
「なに?」
彼女とはめったに話すことがなかったが、なんとなく話の内容を予想しながら答えた。
「今日さ、図書室の掃除当番だって知らなくて、別のクラスの子と約束しちゃったんだあ。掃除しといてくれる?」
満面の笑みで知代が言う。 知代の後ろには同じ掃除班の女子たちがいた。
「そんなの・・・一人でなんて無理よ」
こういう可愛い子ぶる女子が、久美は嫌いだった。見た目だけよいだけで、特別扱いされている。久美は知代を軽く睨んだ。
「だーいじょうぶ!じゃ、やっといてよ」
前髪が長めのせいか、久美の視線は知代は気づいていない。 知代はニコニコと笑顔のまま、さっさと教室から出ていった。
「・・・・・・」
中学3年生になって2か月くらい経つが、クラスには馴染んでいない。 いじめを受けているわけではないが、友達もいなかった。 小学生の時にうけた❝心の傷❞を思い出しかけて、すぐに記憶に蓋をする。 ガタン!と勢いよく、久美は席を立った。
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