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作品名:100年目の希望 作者:パンデミックデリタス

第13回   革命装置
グレート松本は不適な笑みを浮かべた。
「突破口はあるさ。インターネットさ。今若者のテレビ離れ、新聞離れが進んで、インターネット利用時間がどんどん増加してきてるんだ。それはマスコミによる洗脳が及ばなくなってくることを意味するんだ。実はそれで政官財(政府、官僚、財界)の連中は少しあせってきてるんだ。その証拠に、あと2年後にせまってる完全デジタル放送化に向けて、生活保護受給者に対してテレビが見られなくならないようにデジタルチューナーを無料で配布するという奇妙な政策がすでに成立してるんだ。それに、政官財は『ネット風評監視サービス』業者に依頼し、世論操作を行っている事もすでにわかってるんだ。2chなどの掲示板への書き込みのほとんどが政府や企業が雇ったネット工作員によるものなんだ。ただ、インターネットで『情報の捏造』はできたとしても、テレビや新聞のように『情報の制限』や『信用の失墜』などの洗脳テクニックが使えないんだ。それってすごいことなんだ。しかも、ほとんどの情報は匿名の個人が発信しているものだから、リアル世界のように同調圧力を受けることなく、本音の情報がどんどんネット上に溢れるようになるんだ。」

「同調圧力?」

「ああ、後でその話をしようと思ってたんだけど、『同調圧力』ていうのはマスコミの洗脳が効かない稀な人間を封じ込めるためのマスコミの常套手段の一つなんだ。『KY』て言葉が一時流行っただろ?その言葉を流行らせたのは実はマスコミなんだ。これは同調圧力以外の何ものでもないんだ。例えば誰かが「それはマスコミの洗脳なんだよ」何て口走ったらまず間違いなくその場の空気がおかしくなるんだけど、そういうことを言うとKYとか言って虐げられるような仕組みを作ったんだ。空気が読めないヤツなんて実は別に何も悪くないんだ。本来、『空気が読めない』ていうのはテレビの中のお笑い芸人が絶妙な空気を作り出して笑いをとるみたいなレベルのものであるはずなんだ。つまり、マスコミがそれを職場やプライベートな場所にまで持ち込んで国民を画一化させようとしているに過ぎないんだ。モラルがない発言をKYというのならわかるが、得てしてそういう意味で国民がその言葉を使っているとは到底思えない。そもそも、空気が読めない発言を、絶妙な突っ込みや切り替えしができない自分の無能さや独創性のなさを発言者のせいにしてるだけのようにも思える。そこにマスコミがうまくつけ込んだんだろうな。でも残念なことに、インターネットはその同調圧力が通用しない。マスコミ洗脳装置が無力化するのはもう時間の問題なんだ。」

「マスコミ・・・恐るべし。でも、少し希望が見えたような気がします。インターネットって革命装置ですね。ところで、政府が正義を貫けない事情やマスコミとの関係などは十分理解できましたが、官僚や財界との力関係がいまいち見えないんですよね。そのあたりはどうなってるんでしょうか?あと、『大衆の乱』が行っている反権力活動の内容も聞きたいです。」

「まあ、そう焦ることもないさ。全部話してやるから。そうだな、次は財界ついて話をしよう。その次は官僚。最後に俺たちの組織についてだ。」

ミスターおくれとグレート松本が店に入ってからどれくらいの時間が流れただろうか。真実を追い求める二人の間に流れる時間は、他の誰の時間よりもゆっくりと流れていた。


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