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作品名:100年目の希望 作者:パンデミックデリタス

第12回   死の清算
「これは先にも少し話したが、学校っていうのは政府、官僚、財界にとって都合の悪いことは教えないようになってるんだ。都合の悪いことが何かっていうと、さっきも言ったアメリカの内政干渉によって、日本の文化や法律がアメリカの都合によって変えさせられているということや、現行の資本主義と民主主義というシステムに欠陥があるということさ。まず、政府の立場に立って話を進めよう。政府は、これらの事実を国民に正直に教えてしまうと、大きな改革運動が全国で巻き起こり、社会の秩序が保たれなくなってしまう可能性があることを懸念してるんだ。でも、その事実を知って革命運動を起こす国民の意思というのは筋の通ったものなんだから、政府はその意思を真正面から受け止めて、日米の対等な関係の実現を目指すことに尽力すべきなんだ。そして、その尽力している姿を国民たちに評価してもらいながら政治を行うのが筋ってもんだと思うんだ。ただ、政府的にはマスコミや学校に洗脳させて無能化した国民に今更すべての事実をさらけ出したところで納得して貰えるはずもないっていうのが正直なところなんだろう。まぁ、本末転倒もいいとこだけどな。あと、政府は積もりに積もった不正の数々が明るみに出ることを恐れているんだ。取り巻きのヤクザや各圧力団体などの暴力組織がいろんな不正に密に絡んでるから、命がけなわけさ。最悪の場合、国家が信用を失い、破綻してしまう可能性だってある。それでもやっぱり、誰かが一度すべての悪事を清算しなければならないんだ。このままいけば日本が自壊するのは目に見えてるからな。しかしまぁなんというか、何で上の世代の悪事を下の世代が全部清算しなきゃならないんだってのが政治家の本音だろうけど、自分たちの子供や孫のために命かけようじゃないかって思わなきゃだめなんだ。こんな理不尽な社会は自分達の代でもう終わりにしないといけないんだ。でも、今の政治家は命をかけてまで正義を貫こうとしないんだ。で、理想を失った政治家は、正義を振りかざして廃人になるよりも、官僚や財界と結託して甘い蜜を吸いながら安泰した生活を送ろう、てな具合になるわけさ。どうだい?話についてこれてるかい?」

ミスターおくれは、話の途中で少し放心状態になっていたがカップに残っていたコーヒーを手にとって一口飲んだ後、話し始めた。
「政府についてなんですが、話を聞いてるとどこか犠牲者のように聞こえますね。でも、政治家が阿吽の呼吸に取り込まれるのを防ぐには廃人になる覚悟がなければできませんね。しかも、勝てない勝負だということがもう見え見えで、命をかけてまで抵抗しても犬死に終わるだけだのような気もします。大事な家族や仲間を危険に晒したくないというのもあるだろうし。僕が政治家になったとしても正直、抵抗する自信がありません。どうすればいいんでしょうか。高い志を持った政治家が心置きなく正義を貫くことができる状況にするためには何をすればいいでしょうか?」


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