20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:あの頃へ 作者:こまち

第77回   77
「入学式のとき・・・ともちゃんの隣にいた先輩に・・・一目惚れして・・・//」
・・・う〜ん・・・
「名前と部活はわかったんだけど・・・もっといろんなこと知りたくて・・・//」
・・・別に、珍しいことじゃないんだけど・・・
「・・・いる・・のかな・・・?」
「・・・え?」
「――彼女って・・・いるのかな?」
・・・好きになったら当然出てくる疑問だよね・・・
「・・・彼女は・・・いないみたいだけど・・・」
「ほんとにっ!?・・・あ・・でも、好きな人は・・・いるってこと?」
「・・・さぁ・・・聞いたこと・・・ないな・・・」
・・・基本、女の子は大好きみたいだけど・・・
「ねっ・・・お願いっ!!話ができるだけでもいいから・・・協力してくれない?」
・・・真美ちゃんって・・・けっこう積極的だったな、そういえば・・・
「あのさ・・・仲良くなるのはいいと思うけど・・・・・・本気になるのは・・・あんまり賛成・・・できないな・・・」
「なんで!?・・・すごい性格悪いとか?・・・あ・・・暴力振るうとか!?」
「違う違うっ!!そういう意味じゃなくて・・・」
「じゃあ大丈夫!・・・先輩かっこいいもん。ライバル多いのは覚悟できてるよ。それに・・・この一目惚れに運命感じたの!」
「・・・そう・・・」
恋する乙女は強し・・・
これ以上、引き止めても無理なのがわかった。


帰りのホームルームが終わり、帰宅時間になった。
部活へ向かうケンちゃんを引き止めた。
「あのさ・・・ケンちゃんと・・・話したいって子がいるんだけど・・・」
「はぁ!?・・・なにおまえ頭でも打ったのか?」
「なんでよっ!」
「山田が俺に女紹介するなんて。」
「・・・女って言ってないけど・・・」
「えっ・・・俺あっちは無理・・・」
「・・・・・・女の子です。」
「なんだよ、まわりくどいな・・・っていうか、部活行きたいんだけど。今からなわけ?」
そっか・・・ケンちゃん部長だもんな。
しかも試合近いし・・・・・・あっ、そうだ!
「今度のさ、試合にその子も連れてくから。終わった後にでも、話してあげてくれない?」
「あぁ、いいよ。一人と言わず、何人でもオッケーさ!じゃあな!」
・・・・・・やっぱり・・・協力しない方が良かったかも・・・

それにしても・・・ケンちゃんは、好きな子っていないのかな?
いっつもあんな調子だから、真面目に聞いたことないや。
まぁ・・・真美ちゃんもケンちゃんの正体わかったら・・・本気にはならないかもね。



そして、日曜日。
自宅から真美ちゃんと一緒に試合会場へと向かった。
町内のグラウンドで行われていることもあり、割と早めに到着した。
美樹ときょんちゃん、そしてひとみとも合流し、真美ちゃんのことを話した。
みんなもあたしと同じ意見のようで、あえて頑張ってね・・・とは言えなかったみたい。

トーナメント方式で、我が校はシード校で2回戦からだ。
この頃は、まだ町村の大合併はされてなかったので、地方の郡大会に属するものだった。
それでも、盛り上がりは欠けていなかった。
応援の幕が飾られ、生徒はもちろん、保護者の姿も沢山あった。

熱戦が繰り広げられ、我が校は当然のように決勝進出だ。
観客の応援にも熱が入る。
何度見ても、燃え上がるし、熱が入る。
そして、やっぱりサッカーしている姿はかっこよかった。
あのグラウンドで雄姿な彼が、自分の彼氏だと思うと、すごく引け目を感じてしまう。
自信がないのは今に始まったことでもないし・・・
ふと、きょんちゃんに目をやる。
・・・・・・きっと、あたしと同じこと思ってるかも。
なんとなくそう感じた。


ピッピ―――ッ!!
審判がホイッスルを鳴らした。
「「キャ――ッ!!やった〜!!」」
一斉に歓声が湧く。
彼らが3年になって、初めての試合で・・・優勝だ!
感極まって、涙する選手もいる。
さらに、拍手と声援で選手たちを称える。

朝から始まった大会は夕方を迎えていた。
表彰式が終わり、新入部員が後片付けをしている。
監督から解散が言い渡されたの確認して、あたしら集団はいつものメンバーの元へ向かった。
「おめでとーっ!!そしてお疲れーっ!!」
美樹が、先頭切ってお祝いの言葉を言った。
「お〜っ!応援ご苦労!!」
ジャージを羽織りながら、ケンちゃんがいつものように応える。
「すんごい感動したーっ!!ほんっとおめでとう!!」
まだ先程の興奮が止まない感じだ。
「だろ〜っ?おいっ、山下。・・・惚れ直したか?」
ちょっとポーズを決めてみせる。
「・・・それが、なきゃね・・・」
一気に冷める。
「なんだよ、照れんなよ〜っ!」
二人のやりとりに笑っていたが・・・おっと、忘れてはいけない。
あたしはやるべきことを進めた。
「えっと・・・ケンちゃん。」
「ん?」
真美ちゃんの腕を引っ張り、前に連れてきた。
「・・・前に話した子・・・谷川 真美ちゃんっていうんだけど・・・」
真美ちゃんは顔を赤らめ、お辞儀をした。
「・・・あれ?・・・この子って・・・山田の近所の子じゃなかった?」
「あぁ・・・うん、そう。」
よく覚えてたな。
「――あのっ・・・初めまして。」
自分のことを少しは知っててくれたことを嬉しくなり、真美ちゃんは挨拶をした。
「あ・・どうも。俺のファンってこと!?」
ケンちゃんはいつものように、軽い感じで会話を交わした。
「あ・・・はい・・・」
「そっかそっか〜、サンキュー!」
ケンちゃんは握手を求め、手を差し出した。
「・・・――やっぱり・・・違いますっ!!」
・・・・・・へ!?
意外な言葉に、きっとケンちゃんも驚いただろう。
もしかして、真美ちゃん・・・もうケンちゃんの本質見破ったの・・・?
「・・・え?・・・どういうこと?」
ケンちゃんが差し出した手をゆっくり引きながら呟く。



「―――ファンじゃなくて・・・――彼女にしてくださいっ!!」
真美ちゃんはペコリっと頭を下げた。



―――!!
は・・・はやっ!!
もう・・・コクっちゃったよ・・・

あたしも周りのみんなも、固まってしまった。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 19737