「入学式のとき・・・ともちゃんの隣にいた先輩に・・・一目惚れして・・・//」 ・・・う〜ん・・・ 「名前と部活はわかったんだけど・・・もっといろんなこと知りたくて・・・//」 ・・・別に、珍しいことじゃないんだけど・・・ 「・・・いる・・のかな・・・?」 「・・・え?」 「――彼女って・・・いるのかな?」 ・・・好きになったら当然出てくる疑問だよね・・・ 「・・・彼女は・・・いないみたいだけど・・・」 「ほんとにっ!?・・・あ・・でも、好きな人は・・・いるってこと?」 「・・・さぁ・・・聞いたこと・・・ないな・・・」 ・・・基本、女の子は大好きみたいだけど・・・ 「ねっ・・・お願いっ!!話ができるだけでもいいから・・・協力してくれない?」 ・・・真美ちゃんって・・・けっこう積極的だったな、そういえば・・・ 「あのさ・・・仲良くなるのはいいと思うけど・・・・・・本気になるのは・・・あんまり賛成・・・できないな・・・」 「なんで!?・・・すごい性格悪いとか?・・・あ・・・暴力振るうとか!?」 「違う違うっ!!そういう意味じゃなくて・・・」 「じゃあ大丈夫!・・・先輩かっこいいもん。ライバル多いのは覚悟できてるよ。それに・・・この一目惚れに運命感じたの!」 「・・・そう・・・」 恋する乙女は強し・・・ これ以上、引き止めても無理なのがわかった。
帰りのホームルームが終わり、帰宅時間になった。 部活へ向かうケンちゃんを引き止めた。 「あのさ・・・ケンちゃんと・・・話したいって子がいるんだけど・・・」 「はぁ!?・・・なにおまえ頭でも打ったのか?」 「なんでよっ!」 「山田が俺に女紹介するなんて。」 「・・・女って言ってないけど・・・」 「えっ・・・俺あっちは無理・・・」 「・・・・・・女の子です。」 「なんだよ、まわりくどいな・・・っていうか、部活行きたいんだけど。今からなわけ?」 そっか・・・ケンちゃん部長だもんな。 しかも試合近いし・・・・・・あっ、そうだ! 「今度のさ、試合にその子も連れてくから。終わった後にでも、話してあげてくれない?」 「あぁ、いいよ。一人と言わず、何人でもオッケーさ!じゃあな!」 ・・・・・・やっぱり・・・協力しない方が良かったかも・・・
それにしても・・・ケンちゃんは、好きな子っていないのかな? いっつもあんな調子だから、真面目に聞いたことないや。 まぁ・・・真美ちゃんもケンちゃんの正体わかったら・・・本気にはならないかもね。
そして、日曜日。 自宅から真美ちゃんと一緒に試合会場へと向かった。 町内のグラウンドで行われていることもあり、割と早めに到着した。 美樹ときょんちゃん、そしてひとみとも合流し、真美ちゃんのことを話した。 みんなもあたしと同じ意見のようで、あえて頑張ってね・・・とは言えなかったみたい。
トーナメント方式で、我が校はシード校で2回戦からだ。 この頃は、まだ町村の大合併はされてなかったので、地方の郡大会に属するものだった。 それでも、盛り上がりは欠けていなかった。 応援の幕が飾られ、生徒はもちろん、保護者の姿も沢山あった。
熱戦が繰り広げられ、我が校は当然のように決勝進出だ。 観客の応援にも熱が入る。 何度見ても、燃え上がるし、熱が入る。 そして、やっぱりサッカーしている姿はかっこよかった。 あのグラウンドで雄姿な彼が、自分の彼氏だと思うと、すごく引け目を感じてしまう。 自信がないのは今に始まったことでもないし・・・ ふと、きょんちゃんに目をやる。 ・・・・・・きっと、あたしと同じこと思ってるかも。 なんとなくそう感じた。
ピッピ―――ッ!! 審判がホイッスルを鳴らした。 「「キャ――ッ!!やった〜!!」」 一斉に歓声が湧く。 彼らが3年になって、初めての試合で・・・優勝だ! 感極まって、涙する選手もいる。 さらに、拍手と声援で選手たちを称える。
朝から始まった大会は夕方を迎えていた。 表彰式が終わり、新入部員が後片付けをしている。 監督から解散が言い渡されたの確認して、あたしら集団はいつものメンバーの元へ向かった。 「おめでとーっ!!そしてお疲れーっ!!」 美樹が、先頭切ってお祝いの言葉を言った。 「お〜っ!応援ご苦労!!」 ジャージを羽織りながら、ケンちゃんがいつものように応える。 「すんごい感動したーっ!!ほんっとおめでとう!!」 まだ先程の興奮が止まない感じだ。 「だろ〜っ?おいっ、山下。・・・惚れ直したか?」 ちょっとポーズを決めてみせる。 「・・・それが、なきゃね・・・」 一気に冷める。 「なんだよ、照れんなよ〜っ!」 二人のやりとりに笑っていたが・・・おっと、忘れてはいけない。 あたしはやるべきことを進めた。 「えっと・・・ケンちゃん。」 「ん?」 真美ちゃんの腕を引っ張り、前に連れてきた。 「・・・前に話した子・・・谷川 真美ちゃんっていうんだけど・・・」 真美ちゃんは顔を赤らめ、お辞儀をした。 「・・・あれ?・・・この子って・・・山田の近所の子じゃなかった?」 「あぁ・・・うん、そう。」 よく覚えてたな。 「――あのっ・・・初めまして。」 自分のことを少しは知っててくれたことを嬉しくなり、真美ちゃんは挨拶をした。 「あ・・どうも。俺のファンってこと!?」 ケンちゃんはいつものように、軽い感じで会話を交わした。 「あ・・・はい・・・」 「そっかそっか〜、サンキュー!」 ケンちゃんは握手を求め、手を差し出した。 「・・・――やっぱり・・・違いますっ!!」 ・・・・・・へ!? 意外な言葉に、きっとケンちゃんも驚いただろう。 もしかして、真美ちゃん・・・もうケンちゃんの本質見破ったの・・・? 「・・・え?・・・どういうこと?」 ケンちゃんが差し出した手をゆっくり引きながら呟く。
「―――ファンじゃなくて・・・――彼女にしてくださいっ!!」 真美ちゃんはペコリっと頭を下げた。
―――!! は・・・はやっ!! もう・・・コクっちゃったよ・・・
あたしも周りのみんなも、固まってしまった。
|
|