新学期――― いよいよ3年生の幕開け――
あたしら仲良し3人は、クラスが見事にバラバラだった。 きょんちゃんと違うのはわかっていたことだけど、美樹とも違っていたのは残念だった。 でも、1年の終わり頃から仲良くなっていた、ひとみとはやっぱり今回も一緒だった。 松井君とも当然違うクラスで・・・でも、あたしが3組で松井君は4組、隣だってことが嬉しかった。 きょんちゃんは松井君と一緒で、ケンちゃんはあたしと一緒、田口君は美樹と一緒だった。
まぁ、クラスが違っても、そんなに大きい学校じゃないし、人数も知れてるし・・・ この1年も楽しく過ごせる・・・そう信じていたんだ・・・
体育館で行われた入学式も終わり、2、3年生は、退場しようと出口へゾロゾロ歩いていた。 ひとみとケンちゃんとおしゃべりしながら歩いていると、新入生の席からあたしを呼ぶ声がした。 「・・・ちゃ〜ん・・・ともちゃ〜んっ!」 ざわざわとしている中だったので、すぐにはわからなくて・・・声の方を振り向いて見渡した。 「・・・――!真美ちゃんっ!お〜いっ!!」 この間まで小学生だった、近所の真美ちゃんだ。 15年後には結婚する真美ちゃんだ。 あたしが手を振っていると、隣にいたケンちゃんが話しかけてきた。 「・・・へ〜・・・山田も慕われる後輩がいるんだ〜。」 「・・・なにそれ?・・・失礼な!・・・慕うっていうか、近所の子だよ。小さい時よく遊んでたの!」 「おまえんちの近所って・・・山しかないところだろ?」 「あのねっ!!山もっ、あるのっ!!」 「山奥にもあんなかわいい子いるんだな〜・・・」 人の話はスルーで、ケンちゃんはそう言いながら真美ちゃんに目をやった。 「・・・ちょっと!!」 「なんだよ?」 「真美ちゃんに手出さないでよ!」 「な〜に言ってんだよ。それじゃ俺がまるで手当たり次第に女あさってるみたんじゃんか〜」 「・・・近いもんがあるでしょうが!!」 ケンちゃんに彼女という特定な子はいなかった。 でもモテているのは相変わらずで、来るもの拒まず、いろんな女の子たちとデートらしきことを、ここ最近頻繁にしているようだ。 「失礼だな!俺はみんなのケンちゃんでいるだけだよ。ったく、わかってね〜な・・・そんな堅物な事言ってると、リョーマに愛想尽かされるぞ!」 「〜〜〜っ・・・なんでそうなんのよ!」 「クスクスクス・・・ほら前進んだよ、行こう。」 ひとみがなだめるように、声をかける。
でも・・・この時のことが、また違う現実を引き起こしていったんだ。
数日後の昼休み――― いつものように、松井君と中庭にある芝生のところで過ごしていた。 ちらほらと、他の生徒の姿も見受けられる。 松井君は寝ころんで、あたしは隣で足を伸ばして座っていた。 普段からおしゃべりではないあたし達だから、二人の時も沈黙になることが多い。 最初のうちはその沈黙が嫌だったけど、今となっては心地よい物になってきていた。 「・・・・・・試合、もうすぐだね。」 「・・・・・・あぁ・・・」 今度の日曜日に、サッカーの試合がある。 去年から好成績続きのサッカー部は、朝連も始まり、夕方も遅くまで練習が続いていた。 そのせいもあって、松井君はほんとうに眠そうだ。 「・・・見に来んの?」 「うんっ、今度はひとみも行こうかなって言ってたよ。」 「ふ〜ん・・・佐藤もね・・・なんかだんだん観客増えてんな・・・」 「そりゃあ当たり前でしょ!サッカー部の人気は今に始まったことじゃないし。」 何故かあたしが自慢げになってしまった。 試合がある度に応援席の客が増えて、今では他校の生徒の姿も見られるようになった。 町内の広報にはもちろん、新聞の地方版にも記載されることがあったからだろう。 今年は、全国高校サッカーも夢じゃない・・・と。
「ふぁ〜〜・・・ほんとに寝てしまいそう・・・」 松井君は欠伸を抑えながら、ゴロンと正面からあたしの方に横向きに寝返りをした。 「寝れば?時間になったら起こすし。」 笑いながら松井君に目をやった。 「・・・・・・あんたも寝て。」 そう言ったが早く、後ろで支えていた手をグイっと引き寄せられた。 ―――っ// その勢いで、座っていた体勢から半分体が横になった。 そして、すぐ側に松井君の顔が・・・ 「〜〜っちょ――//」 離れようとするあたしを、いつものように強い力で掴んだままだ。 そして、そのまま顔が近付いてくる。 「〜〜っ人がっ・・・見てるよ・・・//」 あたしは必死の抵抗をした。 「・・・見てない。」 「〜〜っ見られるってば〜〜//」 「・・・気にすんな。」 「気にするよ〜・・・」 「・・・この間だって大丈夫だったじゃん。」 「―――っ//」 あたしの反応が止まった隙に、松井君はキスをしてきた。 観念したあたしも・・・それに応える。
何度もしているキスだけど、いまだに慣れないあたしだった。 でも・・・一度唇が重なると、あたしの隠された欲が出てくる。 もう少し・・・もう一度って・・・――――――っ// あまりにもキスに酔いしれていて、いつの間にか松井君が覆いかぶさっていたことに気付いた。
「〜〜〜っ、ス・・・スト〜ップっ――!!」 両腕で松井君の胸を押し戻した。 これ以上は絶対無理!! あたしの強い意志が伝わったのか、松井君はすんなり上からどいて、また寝ころんだ。 急いであたしは体を起こし、松井君によって乱された髪を整えた。
〜〜なんか・・・絶対日に日に・・・激しくなってる気が・・・ って、あたしも入り込んでるし―――//
「あ〜っ、いたっ!ともちゃ〜ん!!」 ―――っ!! 名前を呼ばれドキッとする。 今の・・・見られた!? あたしは呼ばれた方を振り返った。 ・・・真美ちゃんだ・・・ ちょうど、校舎の曲がり角から見えたとこで、 こっちに走ってくる。 「――!あっ・・・ごめ・・んなさい・・・」 近づいてきたところで、松井君の存在に気づき足が止まる。 「どっ・・・どうしたの?」 先ほどの空気をかき消そうと、真美ちゃんに聞き直した。 「えっと・・・ちょっと、相談があって・・・でも、また今度で――っ」 真美ちゃんが後ずさりをしだしたが、パッと松井君が起き上がった。 「・・・・・・先戻るわ。」 そう言うと、すくっと立ち上がって、真美ちゃんとは反対方向へと歩いて行った。 「えっ・・・ごめんっ・・・どうしよ・・・」 あまりにも淡々とした行動だったからか、真美ちゃんはおどおどとしていた。 「大丈夫だよ・・・いつもあんな感じだから。」 あたしも立ち上がり、お尻についた芝生を払う。 「怒って・・・ないの?」 ・・・うん、まぁ・・・普通ならそう解釈しちゃうよね・・・ 「クスクス・・・怒ってないよ。」 ・・・たぶん。 「それより、なに?相談って・・・」 「あぁ・・・うん・・・実はさ・・・//」 真美ちゃんの顔が赤くなる。 再び芝生に腰を下ろし、話を続けた。
「あのね・・・・・・野村先輩・・・のことなんだけど・・・」 ――――っ!! この反応・・・そして相手が、ケンちゃん・・・!! すぐに答えが結びついた。 「・・・・・・一目惚れしちゃって・・・//」 ・・・・・・まさしく、ビンゴ!・・・だ。
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