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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第76回   76
新学期―――
いよいよ3年生の幕開け――

あたしら仲良し3人は、クラスが見事にバラバラだった。
きょんちゃんと違うのはわかっていたことだけど、美樹とも違っていたのは残念だった。
でも、1年の終わり頃から仲良くなっていた、ひとみとはやっぱり今回も一緒だった。
松井君とも当然違うクラスで・・・でも、あたしが3組で松井君は4組、隣だってことが嬉しかった。
きょんちゃんは松井君と一緒で、ケンちゃんはあたしと一緒、田口君は美樹と一緒だった。

まぁ、クラスが違っても、そんなに大きい学校じゃないし、人数も知れてるし・・・
この1年も楽しく過ごせる・・・そう信じていたんだ・・・


体育館で行われた入学式も終わり、2、3年生は、退場しようと出口へゾロゾロ歩いていた。
ひとみとケンちゃんとおしゃべりしながら歩いていると、新入生の席からあたしを呼ぶ声がした。
「・・・ちゃ〜ん・・・ともちゃ〜んっ!」
ざわざわとしている中だったので、すぐにはわからなくて・・・声の方を振り向いて見渡した。
「・・・――!真美ちゃんっ!お〜いっ!!」
この間まで小学生だった、近所の真美ちゃんだ。
15年後には結婚する真美ちゃんだ。
あたしが手を振っていると、隣にいたケンちゃんが話しかけてきた。
「・・・へ〜・・・山田も慕われる後輩がいるんだ〜。」
「・・・なにそれ?・・・失礼な!・・・慕うっていうか、近所の子だよ。小さい時よく遊んでたの!」
「おまえんちの近所って・・・山しかないところだろ?」
「あのねっ!!山もっ、あるのっ!!」
「山奥にもあんなかわいい子いるんだな〜・・・」
人の話はスルーで、ケンちゃんはそう言いながら真美ちゃんに目をやった。
「・・・ちょっと!!」
「なんだよ?」
「真美ちゃんに手出さないでよ!」
「な〜に言ってんだよ。それじゃ俺がまるで手当たり次第に女あさってるみたんじゃんか〜」
「・・・近いもんがあるでしょうが!!」
ケンちゃんに彼女という特定な子はいなかった。
でもモテているのは相変わらずで、来るもの拒まず、いろんな女の子たちとデートらしきことを、ここ最近頻繁にしているようだ。
「失礼だな!俺はみんなのケンちゃんでいるだけだよ。ったく、わかってね〜な・・・そんな堅物な事言ってると、リョーマに愛想尽かされるぞ!」
「〜〜〜っ・・・なんでそうなんのよ!」
「クスクスクス・・・ほら前進んだよ、行こう。」
ひとみがなだめるように、声をかける。

でも・・・この時のことが、また違う現実を引き起こしていったんだ。


数日後の昼休み―――
いつものように、松井君と中庭にある芝生のところで過ごしていた。
ちらほらと、他の生徒の姿も見受けられる。
松井君は寝ころんで、あたしは隣で足を伸ばして座っていた。
普段からおしゃべりではないあたし達だから、二人の時も沈黙になることが多い。
最初のうちはその沈黙が嫌だったけど、今となっては心地よい物になってきていた。
「・・・・・・試合、もうすぐだね。」
「・・・・・・あぁ・・・」
今度の日曜日に、サッカーの試合がある。
去年から好成績続きのサッカー部は、朝連も始まり、夕方も遅くまで練習が続いていた。
そのせいもあって、松井君はほんとうに眠そうだ。
「・・・見に来んの?」
「うんっ、今度はひとみも行こうかなって言ってたよ。」
「ふ〜ん・・・佐藤もね・・・なんかだんだん観客増えてんな・・・」
「そりゃあ当たり前でしょ!サッカー部の人気は今に始まったことじゃないし。」
何故かあたしが自慢げになってしまった。
試合がある度に応援席の客が増えて、今では他校の生徒の姿も見られるようになった。
町内の広報にはもちろん、新聞の地方版にも記載されることがあったからだろう。
今年は、全国高校サッカーも夢じゃない・・・と。

「ふぁ〜〜・・・ほんとに寝てしまいそう・・・」
松井君は欠伸を抑えながら、ゴロンと正面からあたしの方に横向きに寝返りをした。
「寝れば?時間になったら起こすし。」
笑いながら松井君に目をやった。
「・・・・・・あんたも寝て。」
そう言ったが早く、後ろで支えていた手をグイっと引き寄せられた。
―――っ//
その勢いで、座っていた体勢から半分体が横になった。
そして、すぐ側に松井君の顔が・・・
「〜〜っちょ――//」
離れようとするあたしを、いつものように強い力で掴んだままだ。
そして、そのまま顔が近付いてくる。
「〜〜っ人がっ・・・見てるよ・・・//」
あたしは必死の抵抗をした。
「・・・見てない。」
「〜〜っ見られるってば〜〜//」
「・・・気にすんな。」
「気にするよ〜・・・」
「・・・この間だって大丈夫だったじゃん。」
「―――っ//」
あたしの反応が止まった隙に、松井君はキスをしてきた。
観念したあたしも・・・それに応える。

何度もしているキスだけど、いまだに慣れないあたしだった。
でも・・・一度唇が重なると、あたしの隠された欲が出てくる。
もう少し・・・もう一度って・・・――――――っ//
あまりにもキスに酔いしれていて、いつの間にか松井君が覆いかぶさっていたことに気付いた。

「〜〜〜っ、ス・・・スト〜ップっ――!!」
両腕で松井君の胸を押し戻した。
これ以上は絶対無理!!
あたしの強い意志が伝わったのか、松井君はすんなり上からどいて、また寝ころんだ。
急いであたしは体を起こし、松井君によって乱された髪を整えた。

〜〜なんか・・・絶対日に日に・・・激しくなってる気が・・・
って、あたしも入り込んでるし―――//

「あ〜っ、いたっ!ともちゃ〜ん!!」
―――っ!!
名前を呼ばれドキッとする。
今の・・・見られた!?
あたしは呼ばれた方を振り返った。
・・・真美ちゃんだ・・・
ちょうど、校舎の曲がり角から見えたとこで、
こっちに走ってくる。
「――!あっ・・・ごめ・・んなさい・・・」
近づいてきたところで、松井君の存在に気づき足が止まる。
「どっ・・・どうしたの?」
先ほどの空気をかき消そうと、真美ちゃんに聞き直した。
「えっと・・・ちょっと、相談があって・・・でも、また今度で――っ」
真美ちゃんが後ずさりをしだしたが、パッと松井君が起き上がった。
「・・・・・・先戻るわ。」
そう言うと、すくっと立ち上がって、真美ちゃんとは反対方向へと歩いて行った。
「えっ・・・ごめんっ・・・どうしよ・・・」
あまりにも淡々とした行動だったからか、真美ちゃんはおどおどとしていた。
「大丈夫だよ・・・いつもあんな感じだから。」
あたしも立ち上がり、お尻についた芝生を払う。
「怒って・・・ないの?」
・・・うん、まぁ・・・普通ならそう解釈しちゃうよね・・・
「クスクス・・・怒ってないよ。」
・・・たぶん。
「それより、なに?相談って・・・」
「あぁ・・・うん・・・実はさ・・・//」
真美ちゃんの顔が赤くなる。
再び芝生に腰を下ろし、話を続けた。

「あのね・・・・・・野村先輩・・・のことなんだけど・・・」
――――っ!!
この反応・・・そして相手が、ケンちゃん・・・!!
すぐに答えが結びついた。
「・・・・・・一目惚れしちゃって・・・//」
・・・・・・まさしく、ビンゴ!・・・だ。


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